松沢呉一のビバノン・ライフ

6時間で終わった韓国の戒厳令はなんだったのか—「メンヘラ大統領の発作」説が有力-(松沢呉一)

 

戒厳令の夜

 

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ミン・ヒジンの正体がバラされたって話を取り上げようと思ってまとめていたのですが、日付が変わってしばらくしたあたりで、韓国人YouTuberたちが次々と「今、韓国がヤバい」「韓国に来ないで」と呼びかける動画を公開。

おふざけが得意なきばるんでさえも生中継を開始。どんだけ切迫した状態か理解できましょう。

 

 

韓国のテレビ局も生中継してましたが、自動翻訳ができなかったので、もっぱら私はこれを観てました。

この中で、きばるんが言っているように、1980年の光州事件以来の戒厳令です。44年ぶり。この前年には朴正煕大統領が暗殺され、その時にも戒厳令が敷かれてます。これに続いて軍事クーデターが起き、対して民主化を求める国民が街に出て、翌年、全羅南道光州市で、銃を手にした武装蜂起が勃発し、戒厳令の中、100人以上が軍に銃殺されたり、撲殺されたりました。この時は報道もシャットアウトされたため、日本で全貌がわかってきたのは1ヶ月も2ヶ月も後だったと記憶します。

そういう時代だったわけですが、なんで今の韓国で戒厳令? という疑問を抱いたのは韓国人も同じ。軍のヘリが飛び、軍の車が走り、銃を構えた兵士たちが街角に立つ、寝耳に水の事態に慌てふためく様子がこの動画からもわかりましょう。さすがにあの時代のように、すべての情報を封じることはできないですが、インターネットの使用を禁じることはあり得ますから、皆さん、ビクつきながらの動画公開や配信です。お疲れです。

これに対して、国会議員たちが急遽国会に集まって、戒厳令解除を決議。これを受けて、大統領が解除宣言を出さないと正式には解除されず。戒厳令では、政治活動の停止を実施することができるので、もっと早く軍が国会に突入していれば決議を阻止できていたかもしれないですが、この戒厳令は綿密な計画に基づくものではないでしょう。

午前4時台に、やっと尹錫悦大統領が解除宣言。解除完了まで6時間くらいだったと思います。

北朝鮮軍が38度戦を越えてきたのではないかと思った人も多かったようですが、北朝鮮は精鋭部隊を含む兵士を多数ロシアに売っ払ったし(比喩表現です)、武器も供与しているので、戦争ができる状態ではないでしょう。

 

 

なぜこんなことになったのか

 

vivanon_sentenceでは、一体なんだったのかと言えば、きばるんが言うように、「メンヘラ大統領の発作」というのがもっとも近そうです。

今の韓国ではいい話が何もない。経済破綻が目前に迫り、自営業者の廃業が増え続けています。韓国政府が出している失業率は実情を反映しておらず、基準を他国に合わせると、若い世代の失業率は2割前後になるようです。

それでも今はまだマシかもしれず、半導体競争に負けて、サムスンでさえも倒産しかねない。鉄鋼最大手であり、韓国経済を支えてきたポスコは業績不振である上に火災ばっかり起こしているし、韓国産EV車も火災ばっかり起こしています。

チェコへの原発輸出は凍結され、オーストラリアの軍艦受注にも失敗。

韓国を信用してないトランプ政権になると、基地負担金を増額するのは必至。

女子大は共学反対運動で荒れまくっていて、地下鉄はストライキに突入して交通麻痺に。医療関係の混乱もまだ続いています。

 

 

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