松沢呉一のビバノン・ライフ

NewJeansファンと揉め事ファンの会話—NewJeansとJeansForFree-(松沢呉一)

 

元担当編集者がNewJeansファンになっていた

 

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昨日の遅い時間までには熱は下がったようで、やっぱりコーラは風邪に効くな。しかし、もう大丈夫とバイトに行ったら、辛かったです。もっとコーラを飲むべ。

風邪が悪化する前日、新潮社の元担当編集者に久々に会いました。2年以上会ってなかったかと思います。会ってなかった間に、彼はNewJeansのファンになってました。

「推しは誰?」

ヘリンです」

聞いたことはあるけど、どれかわからん。私が顔まで見分けられるのはダニエルだけ。

「猫目の子です」

わからん。

もともと彼は国内アイドルの追っかけですが、ファンクラブに入るほどK-POPアイドルのファンになったのはNewJeansが初。昨年の紅白歌合戦はNewJeans目当てでNHKホールまで行ったそうです。目が肥えた彼にとっても、NewJeansはそのくらい特別。

かと言って、日本のアイドル・ファンがごっそりK-POPアイドルに流れているわけではなく、彼の感触では、国内アイドル・ファンがNewJeansのファンになっているケースは圧倒的少数だろうとのこと。

ファンの立場から、当然彼は「HYBE=ADOR」と「ミン・ヒジン=NewJeans」の揉め事は気が気じゃなく、この点だけは私と同じです。私は「揉め事に目がない」という揉め事ファンですが、ミン・ヒジンは信用できない私としても、NewJeansに対しては悪い印象はなく、なんなら「頑張れ」という気持ちもあります。

出発点がまるで違いますが、たっぷりNewJeansの話ができて嬉しかったです。

✴︎NewJeansのサイトより。センターがダニエル。オーストラリアと韓国のハーフなので、もっともバタくさいのがダニエル。髪の毛もウェーブが少しかかっているのが目印。ヘリンは一番右。「猫目」で覚えた。一番左がハニだと思いますが、自信はない。名札をつけてくれればいいのに。

 

 

国家が文化に関与していい範囲

 

vivanon_sentence出発点は違っていても、国家が文化に税金を投下することに懐疑的なのは完全に合致。そんなことでいいものが出来ると考えるのはとんだ勘違いです。

そうすることで初めて生まれる優れた作品もあるでしょうが、そんなことをしなくても、日本の漫画やアニメは発展してきたのですし、日本の音楽も同じ。

国民が文化に金を使わないため、国家のバックアップがなければ優れた作品を生み出すことができない国はそういうことをやり続ければいいとしても、結局は国家の威信を高めることが目的の政府に文化が従属することになってしまい、チャート操作やメディア操作に金が使われ、それがバレて国家の信頼をも失うことになっているのは、K-POPでもウェブトゥーンでも見られる結末です。

税金や投資家の金を集めることができる文化ジャンルの企業が過剰な力を得て、文化の構造自体を変えてしまい、韓国で強大なピラミッドの頂点に立つのはHYBEです。それに刃向かった「ミン・ヒジン= NewJeans」は天晴れではあれ、所詮、K-POPアイドルという唯一のピラミッドの中でのパイの奪い合いに過ぎません。アイドル・ピラミッドが金と権力と人材を独占したことで、かつては存在していたロックバンドやシンガーソングライターの市場が衰退していった韓国の音楽シーンを再生させる契機にはなり得ません。

 

 

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