「日本は甘い」と語る中国人—中国に火事場泥棒がいない理由(絶無ではないながら、少ないのは事実っぽい)-(松沢呉一)
中華料理屋のおばちゃんのお話
「フジテレビの記者会見で露わになった不適格ジャーナリストたち—あの連中と同じにならないように自重する効果はあったかも」に書いたように、古い知人と久々に会って、「全快祝い」をしました。私はまだ時折鼻水を垂らしてましたが、ほぼ全快ということで。
会場は彼が「美味しい中華料理屋がある」と連れて行ってくれた店です。私は店の前を通りかかったことがあるはずですが、入口が狭くて目立たず、全然気に留めてませんでした。
経営者夫婦は私と同世代と思われる中国人ですが、「生まれて育った国なので、中国は好きだけど、嫌いなところが多すぎる。日本は嫌いなところもいっぱいあるけど、好きなところがもっと多い」と言っていて、とくに中国共産党が大嫌いで、自由が大好き。帰化しているのかもしれないですが、そこまでは確認してないです。
午後6時前だったので、客がほとんどおらず、何度か店のおばちゃんは我々の会話に参加。
私らが新型コロナについての話をしていたら、おばちゃんも参加してきて、経営者夫婦もすでに新型コロナを経験済みです。
「たいしたことがなかったからよかったけど、何度でも感染するんでしょ」
「僕は二度目をやりましたよ」と知人。
「客が多い時はマスクをするんだけど、客が少ない時は外してしまう」
この時もおばちゃんは顎マスクでした。私も顎マスクで食ってました。
ロスの火災と火事場泥棒
そのうち、どういう流れだったか、ロスの山火事についての話になりました。
「私たちも一時ロスにいて、あの辺は車で通ったことがあるよ。お金持ちの家が並んでいて、きれいななところなのに、全部焼けたね」
続けて私はこう言いました。
「今も収入がある人ならいいけど、若いうちに稼いだ金で家を買って、今は引退していて蓄えのない人はもう建て直せないでしょ。現金も貴金属も全部焼けてしまって」
「火災保険も出ないんだってね」
「自然災害は除外だよね。出る保険もあるかもしれないけど」
おばちゃんはこう聞いてきました。
「日本語でなんて言うんだっけ。火事の後で、物を盗んでいくの」
「火事場泥棒」
「そうそう。ロスでは火事場泥棒がいっぱいいたんだってね」
「いっぱい捕まってるけど、その何倍もいたんだろうね」
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