松沢呉一のビバノン・ライフ

NewJeans(NJZ)の独立を裁判所が否定—韓国のウリ文化を解読する-(松沢呉一)

 

ミン・ヒジン=NewJeans(NJZ)敗訴

 

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ひさびさにNewJeansの話題。

新しいグループ名をNJZと発表しましたが、ADORは「今まで通りNewJeansと表記して欲しい」とメディアに要請しているため、両方を併記していることが多く、メディアもうんざりしているのではなかろうか。

で、3月21日、ソウル中央地裁は、契約に反するNJZの活動を否定、ADORの主張を認める判決を出しました。ミン・ヒジンやメンバーがああも強気なのは奥の手があって、ADORが契約違反をした決定的な証拠を押さえているのだろうと私は思っていたのですが、そんなもんはなかったようです。

同じHYBE傘下のILLITが、NewJeansのコンセプトをパクったと言っても、アイデアレベルに著作権はないですし、何らかの権利が生じるとしても、権利の所有者はミン・ヒジンではなく、法人になりましょうから、重大な契約違反とは言えないのではなかろうか。

このままだと、ミン・ヒジンとNewJeans側が、ADORから契約違反で損害賠償請求をされて負けるでしょう。バカだなあ。

韓国人は思い切り飽き性ですから、すでにNewJeansは人気に翳りが出ていそうですし、HYBEも昨年は売り上げを落としていて、K-POPアイドル全体が頭打ちであることが数字に出てしまっているので、これ以上、揉め事が続くと命取りになりかねません。

私はファンでも何でもないのでどうでもいいのですが、お馴染みジュジュさんの解説が面白かったです。

 

 

念の為に補足しておくと、彼はNewJeansが好きなはずで、とくにここに悪意は込められていません。

このところ、彼は、法律より感情が上位に来る韓国の特性を語っています。情治国家であり、憲法の上に情緒法が君臨する国です。

前に書いたように、ミン・ヒジンが記者会見で泣く様子で、私は「信用できない」と思ったのですが、韓国ではあの会見でミン・ヒジンに同情する人が圧倒的に多かったのです。あの直後に裁判の判決が出ていたら、情緒法によってミン・ヒジンとNewJeansは勝てたかもしれない。

ここから、ジュジュさんは親の過干渉についての話につなげています。とくに若い芸能人で顕著ですが、いちいち親がしゃしゃり出てきます。15歳、16歳ならわかりますが、20歳過ぎてもそうなのです。韓国人にはマザコン、ファザコンが多いと言われますが、実際にマザコン、ファザコンが多いのかどうかは別にして、日本から見るとそう見えましょう。

 

 

韓国を理解するためのウリ文化

 

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親がしゃしゃりでるのは、子どもの稼ぎは親の稼ぎという儒教的発想があるのだと思っていたのですが、ジュジュさんが言うように、「ウリ」で解釈するとわかりやすい。「ウリ」は「うちの」「私(たち)の」の意味ですが、韓国人はその場その場での「ウリ」が利益になることを優先します。

ここは韓国の特性として重要なので、ジュジュさんの言葉を抜き出します(読みやすいように言葉を略したり、まとめたりしています)。

 

韓国では何かあった時に何か要求をするんですけど、要求する過程で相手にとんでもない被害があったとしても、自分と関わってるウリだけがうまくいけばいい。そのウリ精神がすごく強くて、ウリが被害を受けるのは絶対にダメだけど、都合の悪いとこに関しては すべてあなたが間違えてるという感じで、ウリかウリ以外かで判断する。実際に韓国で起きてる事件や炎上してる件でも、それが共通点だと言っても過言ではないかと思います。

 

ウリの利益になるかどうかが最大の関心事。「我が家族」「我が一族」の利益のために、親がしゃしゃりでる。

 

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