松沢呉一のビバノン・ライフ

多くの韓国民が共に民主党を見放しつつあるように見えるのは信用できるのか?—尹錫悦大統領は釈放されたけれど-(松沢呉一)

 

韓国で相次ぐ大事故

 

vivanon_sentence

韓国では、尹錫悦大統領の戒厳令宣布以降、大きな事故が連続しています。

12月29日ムアン空港でチェジュ航空機の事故により179人が死亡。

1月28日には釜山の空港でエアプサンの旅客機が炎上。3人の軽傷者のみ。

2月25日には安城市で工事中の高架橋が崩落して作業員4人が死亡。

3月7日には戦闘機が民家を誤爆して負傷者多数。

3月17日には偵察用ドローンがヘリコプターと地上で衝突して炎上。負傷者はいないのですが、昨年11月にも同型機が墜落して、現在、韓国の防空システムは機能していないとの説も出ているようです。

昨日はソウルの地下鉄が脱線。出庫中の事故だったので、少なくとも乗客の怪我人はなく、乗務員については公開されておらず。

また、ここ数日は、山火事が猛威を奮ってます。

 

 

4人の死亡者は消防隊員ですが、他の映像では民家が燃えていることがわかります。日本でも中国・四国地方で山火事が起きていて、ここだけは人ごとではありませんが、韓国の山火事は墓地でゴミを焼いていて、火の粉が飛んだのが原因らしいので、これらのすべては人為的な原因と思われます。戒厳令が契機になったわけではないでしょうが、韓国全体、タガが外れたような状態で怖いです。当面、韓国には行かない方がいいかもね。

 

 

尹錫悦大統領釈放をすぐに取り上げなかった理由

 

vivanon_sentenceしばらく韓国の政治情勢に触れてませんでした。これまでの経緯から、尹錫悦大統領が釈放されたことは取り上げないわけにはいかなかったのですが、取り上げ方に迷いが生じて、それより「アサシン クリード シャドウズ」や最上あいこと佐藤愛里を優先。それらの方がうんと人気がありますしね。

そもそも現職の大統領が拘束されたこと自体が異例であり、捜査や逮捕自体、また、憲法裁判所の審判自体違法の疑いがありますから、釈放は当然ではあり、これ以降も在宅で判決を待つとは言え、「ともあれよかった」という話ですし、裁判が維持できず、却下になるのではないかとの見込みが出ています。よって尹錫悦支持派の人々が大喜びしているのは重々理解できるのではあるのですが、そこに乗り切れない感があります。

デボちゃんも言ってましたが、この釈放は世論の勝利です。弾劾反対派が支持派と拮抗しており、もともとソウルでは国民の力の支持者の方が多く、ソウル市長も弾劾に反対してますから、ソウルで連日行われているデモも反対派が支持派を凌駕しています。

とくに若い世代で弾劾支持への転向が増加しており、当初と完全に構成する層が入れ替わっています。当初は弾劾支持派は若い層が中心で、反対派は中高年ばかりだったのが、現在は支持派が中高年、反対派は老いも若きもになってます。

しかし、弾劾に向かって司法が動いたのも世論、この国では明文化された法が機能しておらず、国民情緒法という見えない規範が支配しています。「日本人は空気を読む」なんて言いますが、それでも法が一定機能する社会であるのに対して、韓国は法より空気が上位に君臨しています。

✴︎2025年03月21日付「デイリー新潮」 韓国のソク・ドンヒョン弁護士にインタビューしたものをまとめた記事。尹錫悦弁護団の中心的存在なので、弾劾を否定する側の主張はこれを読めばわかります。

 

next_vivanon

(残り 1115文字/全文: 2547文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ