松沢呉一のビバノン・ライフ

留学生のビザ失効で大混乱—トランプの施策で賛同できる点・できない点-(松沢呉一)

トランプ政権vs.ハーバード大学—大学の自治/パレスチナ問題とユダヤ人差別/アファーマティブ・アクション/留学生のビザ取り消しetc.」の続きです。

 

 

トランプ政権の「Lab Leak: The True Origins of Covid-19」

 

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前回見たように、米トランプ政権の政策は、賛同できる点もできない点もあって、ハーバード大学とのバトルにおいては「トランプ政権は強引すぎる。しかし、その要求は納得できる点もあるし、ハーバード大学にも問題がある」といったところです。

続いてのトランプ政権の政策ですが、COVID-19の起源を問い直すのは賛成。

 

 

「問い直す」というより、COVID−19は武漢ウィルス研究所起源であると答えを出しており、それを決定する新たな根拠は提示されていないようですので、もうちょっとフラットにやった方がいいと思いますが、中国側が協力しない限り、真相は明らかにならないですから、中国の隠蔽体質を根拠に決めつけるのはそんなに間違ってない。普通に考えればすべて公開して潔白を明らかにするはずで、隠蔽を続けること自体、やましいことがあることの証明と言えるわけで。

私自身、中国が真相究明に協力しない以上、疑惑を持たれるのは当然だと当時も今も思っています。災害の被害者数も正確に発表されず、天安門事件に触れることさえできず、様々な統計でごまかしをやり続ける国が言うことをどうして信用できましょう。

そもそも中国はこういう国家ですし、中国企業は共産党の下部組織のようなものであり、国民はいつでもスパイになることを中国国家情報法で定められています。

中国企業、さらには中国人を特別に警戒するのはやむを得ず、バイデン政権の段階で中国人の違法入国者や中国人留学生に対する締め付けを強めたのは当然かと思います。

 

 

SEVISから留学生の名前が消えたこととビザ失効は関係がない模様

 

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しかし、今現在進行している留学生のビザ失効問題は、中国人留学生をも対象にしつつ、中国がメインのターゲットではなさそうです。

前回取り上げた記事では、1,000人以上な留学生のビザが取り消されたということでしたが、本日、複数の米メディアが「トランプ政権が留学生の法的地位を回復」という内容の記事を出していました。ビザ失効が撤回されたようですが、そういうことではありませんでした。

米国でも混乱しているようで、正確に理解することが難しいのですが、米国国土安全保障省のスポークスマンであるトリシア・マクラフリンは、「移民税関捜査局を監督する機関はビザの取り消しの方針を逆転させたのではなく、ビザが取り消されていない人々のために、SEVISへのアクセスを回復した」と説明しています。

 

 

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