『WORKSHOP』 またどうせ「狂った大金持ちのゲーム」・・・・ -3,383文字-
監督・脚本・編集 千葉誠治
撮影 植松亮、芹沢亮
出演 古川雄大、戸谷公人、滝口幸広、中島愛里
数年前、『フォーク&バレット~サヨナラ戦争』という奇天烈な映画を見つけて頭を抱えたことがあるのだが、実はこの手の映画はすっかり珍しいものではなくなった。いわば「ワークショップ映画」とでもいうべき、俳優学校の卒業制作として作られる映画である。卒業制作なので全員出演、つまり卒業すれば自動的に「商業用映画出演」の実績ができるという寸法だ。当然完成しさえすればそれでいい、という超低予算映画ができあがって出演者・スタッフから見に行ってしまうオレまでかかわった人すべてが不幸になるのだった。さてじゃあこの「Workshop」はどうなのかというと……
20名の俳優志望者たちが、主催者不明のワークショップに参加すると睡眠薬を飲まされ、廃虚のステージに拉致される。そこで俳優たちは、質問することも許されぬままその場を仕切る謎のMC(古川雄大)に脅され、翻弄されながら問答無用の芝居バトルに引きずり込まれていく。更に上手く答えを導き出せない俳優は、MCに次々と射殺されてしまう。
て本当に殺人workshopなのか! つまり限定状況下で閉じ込められた人々が殺人ゲームに巻き込まれる『王様ゲーム』とか『インシテミル』とか、そっち系の映画であるらしい。これ、低予算で作れて、キャラクターの意外な秘密とかがあかされていくプロットで話も盛り上がる……と誰もが思うようなんだが、大きな問題がひとつあって、そもそもなんでこんな大がかりな計画を練って人を誘拐したり閉じ込めたりするのか?という最大の疑問に満足な答えが与えられたためしがない。どうせ「狂った大金持ちのゲーム」なんだろ……というところで。
廃墟となったスタジオ。手足を縛られ、頭にずだ袋をかぶせられた20人の俳優たちの前に、銃を手にした謎の男(古川雄大)があらわれる。
「さあさあみなさんはじめましょう。え、何をはじめるのかって? みなさん俳優じゃないですか。昨日までのワークショップで教わったでしょう? 自己PRですよ! 自己PRしてください。つまらなかったら即刻退場してもらいますよ!」
と一人の頭巾をはがして告げる。
「な、なに言ってるんだよおまえ!すぐ離せよ!」
ズドーン!
二人目。
「あなたたちはどんな仕事でもオーディションでも受けるって言ったじゃないですか! さあやってください」
「あ、あのどこに向かって自己PRすれば……」
「そこに三脚があるでしょ? その上のカメラでクライアントが見ているんですよ」
安っぽい造花と灰皿の影にビデオカメラが置いてある。廃墟に監禁されている設定にしてもちょっと安っぽすぎるが、まあ「ワークショップ映画」だからね……
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