『キカイダーREBOOT』 -スタジオでロボット同士がパンチしたりキックしたり、貧乏度合いがものすごい (柳下毅一郎) -3,776文字-
監督・編集 下山天
原作 石ノ森章太郎
脚本 下山健人
出演 入江甚儀・佐津川愛美・高橋メアリージュン・長嶋一茂
REBOOTばやりの昨今、海の向こうでは『アメイジング・スパイダーマン』やら『マン・オブ・スティール』やら何かと言えばリメイクではなくリブートされて一からストーリーをやりなおすのが流行っているわけだが、実際にタイトルにREBOOTとついている映画はあまり見た記憶がない。まあREBOOTと言えば再起動なわけで、てっきりクライマックスでキカイダーがやられて機能停止したところでミツ子が「キカイダー、再起動(リブート)!」とタイトル・コールしてキーガシャーンと再起動……みたいなことになるのかと思ったが、もちろんそんな場面があるわけはないのだった。
冒頭、体育館のようなところで激しく戦う黒いツナギを着た男と女。それをモニターで見ているギルバート神崎博士(鶴見辰吾)。
「やはりジローは一瞬遅れるな。良心回路のせいでためらいが生まれているせいだ。完全なのはマリだ……」
そこへ飛び込んできた光明寺博士(長嶋一茂)。
「ARKプロジェクトの目的は原発事故や災害救助で活動するロボットを作るための平和利用だ。格闘の必要などない! やはり軍事用ロボットを作ろうとしているという噂は本当だったのだな。そういうことならわたしは帰らせてもらう!」
一人残された神崎はジローに向かって
「おまえは不完全な機械だ!」
「ボクハ……キカイダ……」
って駄洒落かよ! ともかくこの映画、貧乏度合いがものすごく、映画の八割はロボット同士の格闘シーン。そというかスーツアクター同士の格闘。普通にパンチとキックを決めあってるだけ。一応ロボット同士の戦いなんだから、もうちょっと何か考えないかね? 馬鹿みたいに装甲の上からパンチしあうんじゃなくて、もうちょっと合理的な破壊とかそういうのをさ。ちなみに舞台はほぼミツ子の家と大学、本田博太郎のジャンク屋だけ。あとはひたすら体育館、というかスタジオでロボット同士がパンチしたりキックしたり……ここまで想像力欠如の映画もちょっとない。普通金がなければ頭を使うもんだが、貧すれば鈍すとはこのことか……
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