柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『竜宮、暁のきみ』 香川発!現代の浦島太郎伝説!・・・香川とうどんの素晴らしさを伝えるプロパガンダ映画!? (柳下毅一郎) -2,110文字-

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竜宮、暁のきみ

監督・脚本 青木克齊
撮影 松本貴之
音楽 ミヤタケタカキ
出演 石田法嗣、谷内里早、松本明子、西山浩司、小林ユウキチ、落合モトキ、金山一彦

 

 

UDON スタンダード・エディション [DVD] ico_yan香川発!現代の浦島太郎伝説!もちろん香川のご当地映画自体はすでにいろいろ存在しており、なんといっても巨匠本広克行監督が香川県出身なので、『UDON』とか『曲がれ!スプーン』とかいった香川の良さとUDONの素晴らしさを訴えるプロパガンダ映画は作られているわけで、何をいまさらという感じなんだけど、やはりうどん以外にも香川にはいろいろ見るべきところがある、という思いがさぬき映画祭2013で優秀企画に選ばれた本作には込められているのかも知れない。まあここまでくれば毒食らわば皿まで、日本中の地方発映画を全部見尽くしてやる!

そういうわけで舞台は香川県三豊市、浦島伝説の地である。映画は薄物をまとって海辺で踊る少女の姿からはじまる……東京の大学へ行った浦浜太郎(石田法嗣)は、久しぶりに故郷の町に帰ってきた。はしゃいで延々と海で泳ぐ太郎に、親友の正彦は「もう帰ろうよ~」と呆れ気味だ。実は正彦は曇りはじめた空を不安に思っていたのだが、太郎はそんなことを気づいていない。「大丈夫大丈夫……」と暗転。

目が覚めるとそこは病院だった。良かった……と泣き崩れる母(松本明子)。

「あれ……俺どうしたの……正彦は?」
「……きっと大丈夫よ……あなたも回復したんだから……」


そう、溺れた太郎を救おうとした正彦も一緒に波に呑まれて溺れてしまったのだった。俺のせいで……とくずおれる太郎。そのまま正彦は帰らぬ人となってしまった。

一年のときが過ぎた。

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tags: グルメ 地方映画 松本明子 町おこし 石田法嗣 金山一彦 青木克齊 香川県

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