『神様の言うとおり』 すべて御都合主義なので、どうでもいいんじゃないですかね (柳下毅一郎) -2,726文字-
『神様の言うとおり』
監督 三池崇史
脚本 八津弘幸
撮影 北信康
音楽 遠藤浩二
出演 福士蒼汰、山崎紘菜、神木隆之介、染谷将太、優希美青、大森南朋、リリー・フランキー
いやこれふざけてんのか……?って言いたくなるんだが、実際ふざけてるんだろうなあ。三池崇史だもん。ま、こんな話、これ以外に作りようがない気もするんで、その意味では三池崇史にちょっと同情しないでもない。原作は「少年マガジン」に連載していたコミック。ある日、とある高校で。授業中にいきなり先生の首が「だるまさん」に変わる(先生は首から血を吹きだして死亡)。教卓に陣取った「だるま」は「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだー」と強引に「だるまさんが転んだ」を始める。困惑する生徒たちだが、だるまの前で動くと次々にビームをくらって首が吹っ飛ぶ(ただし血糊がドバドバ出るのは問題ということになったのか、赤いビー玉になって流れ落ちるのでお茶の間でも安心)。高畑シュン(福士蒼太)くんは呆然とするが、隣にいた冷静な友人サタケ(染谷将太)が冷静に指摘する。だるまの背中にはボタンがついていて、「ボタン押したら終わり」と書いてある!(誰でもわかるわ!)というわけでシュンとサタケの共同作戦でだるまの背中のボタンを見事押すことに成功、助かった!と思ったら
「タカハタシュン ハ イキル」
と助かったのはボタンを押したシュンだけで、サタケはあっさり死亡。副主人公格と思われたキャラをあっさり殺すところまではよかったが、期待を裏切る展開はまあここまで。で、クラスでたった一人生き残ったシュンは、隣のクラスで生き残った幼なじみの美少女イチカ(山崎紘菜)と二人で逃げ道を探す。だがたどりついたのは体育館だった。そこに待っていたのは巨大な「まねきねこ」。「ねこの首に鈴をつけたら終わり」と注意書きにあるが、ねこは素早く首を伸ばして生き残りを襲い、次々に食べていく。はたして……
いやまあ『リアル鬼ごっこ』とかそっち系の殺人ゲームもの……という時点で、あ、はい、あとはお察し……という感じだが、まあそういう映画ですね。で、そうなるとあとは誰がゲームを仕組んでるのか、その狙いは何か……みたいな話になるんだけど、これ、あからさまに超自然的ななんでもあり設定で、タイトルが「神様の言うとおり」だからねえ……それで何か意外な真相があきらかになると思う? 今回は「だるまさんが転んだ」からはじまって、「かごめかごめ」とか「缶蹴り」とか子供の遊びが残酷ゲームになるという趣向。漫画なら荒唐無稽な設定でもいいんだけど、映画にしたら……というのは何度も言ってることである。で、その企画を例によって依頼されたら決して断らない三池崇史が引き受けて、ふざけ半分で作ってしまった。まあ三池崇史は一切責任取らない人だから、この惨事は企画をたてた者の責任である。一応15+の指定程度の残酷描写はあります。首ちょんぱの死体も写るし、血も流れる。
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