『迷宮カフェ』 日本の各地に謎のカフェはある。妙齢の美女が経営しており、わけありの人たちが集っている。日本謎カフェ映画祭参加作品! (柳下毅一郎) -3,753文字-
『迷宮カフェ』
監督・脚本 帆根川廣
撮影 石井浩一
音楽 松岡政長
出演 関めぐみ、市川由衣、角田信朗、藤原薫、大迫一平、螢雪次朗、津川雅彦
日本の各地に謎のカフェはある。岬という岬には謎カフェがあるが、もちろん海辺だけでなく内陸にも謎カフェはある。そして謎カフェはつねに妙齢の美女が経営しており、わけありの人たちが集っている。そんな日本謎カフェ映画祭参加作品である。
ゴシップ雑誌でルポライターをしている榎木田(大迫一平)は編集長(螢雪次朗)から「もっとゲスい記事持ってこいよ」と日々煽られている。「実はいいネタがあるんだが……おまえ調べて書かないか?」ついては金をよこせ……とキックバックを要求する編集長。いや編集長がライターにネタを売るのか!? 普通逆じゃないのか
ともかく金をまきあげた編集長、「実は群馬の山奥に妙なカフェがある。そこに行った客はみんな消えてしまうんだ。ちなみにオーナーはこの美人。写真の裏に電話番号書いといたから、そこに随時報告を入れるように」いやそこまで調べてたら別にルポライターに仕事売りつける必要もないんじゃね? ともかくそんなわけで編集長に金をとられてホテル代もない榎木田、「いい記事書いたら200万出すから」の口約束に騙されてはるか群馬まで出かけて車で寝泊まりしながら洋館のような立派なカフェに通う。
「いやーこのカフェ気に入ったんで常連になりたくて、みなさんのお話を聞きたいんですよ」
とあからさまにあやしく常連三人組から話を聞く。なぜか観覧車に乗りながら。
#1松浦(角田信朗)
ボディビルダーだった松浦は五十を越えたころから肉体の衰えを感じはじめる。筋肉がアイデンティティの松浦にとって筋肉の衰えは死の宣告。もう死んでしまいたい……と思いつめた彼は自殺志願者をつのっているという噂を聞いてマリコ(関めぐみ)のカフェを訪れる。マリコは松浦の話を聞くと、「では……」と薬の入ったカプセルを渡す。
「ただし……条件があります」
「へ?」
「骨髄バンクに登録してください。どうせ捨てるつもりなら、骨髄移植で命をリサイクルしませんか?」
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