『あしたになれば』 ご当地B級グルメが紹介されるわけでもなく、どうせ自分の映画なんて誰も見てないと思って手抜き仕事してるんだろうが (柳下毅一郎) -2,402文字-
『あしたになれば』
監督 三原光尋
脚本 小森まき、三原光尋
出演 小関裕太、黒島結菜、清水美沙、赤井英和
夕暮れの校庭。悔し涙に暮れながらボールをネットに投げつける野球部の選手。ふと目をあげるとグラウンドの外に自転車にまたがったすずしげな美少女が立っており、ボールを投げかえす。もう一度視線を戻すと、少女の姿はなかった。
翌日、学校に行くとピッチャー大介(小関裕太)は親友ゲンらとともに校長に呼び出される。
「きみたちには南河内市がこの夏開催する“ふるさとグルメコンテスト”に出場してもらいたい。南河内の美味しいものを全国に発信するプロジェクトだ」
「なんでぼくらが……」
「おまえたち四人組、食いしん坊大会に優勝したんだからぴったりじゃないか」
「……今忙しいんで!」
「そうか残念だなあ。実は隣の女子高との共同チームにしようと思ったんだがね」
と入ってくるのはもちろん昨日の美少女(黒島結菜)(とデブ少女)!
「もちろんやりますよ!」
こうしてぼくたちの夏がはじまった!
ってちょっと待て三原光尋、話が『乙女のレシピ』とまるで同じじゃねーか! 舐めとんのかこら! つうかどうせ自分の映画なんて誰も見てないと思って手抜き仕事してるんだろうが、ちゃんと山形で作ったご当地映画と羽曳野市で作ったご当地映画、両方見てる人間がここにおるんじゃ! 天網恢々疎にして洩らさずとはこのこと、映画を舐めてんじゃねーぞこら。
そういうわけでグルメコンテストに向けて料理を作る高校生たち。東京からやってきた美少女ミキが菓子部というのでてっきりお菓子を作るのかと思いきや、別にスイーツ専門じゃなくて延々ジャガイモ剥いてたりするのが謎である。一行は優勝候補と目されている大阪農業大学の研究室に忍びこんで敵情視察。見とがめられて逃げだす。どさくさまぎれにミキの手を握ってたりして、甘酸っぱい初恋の味である。川べりに六人が並んで、大声で「ぜったい勝つでー!」って叫ぶとか、もう……
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