『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』 安っちいCGをフル回転させてスパイダーマン。柳楽優弥の熱演も宝の持ち腐れ (柳下毅一郎)
→公式サイトより
監督・脚本 福田雄一
撮影 工藤哲也
音楽 瀬川英史
出演 鈴木亮平、清水富美香、柳楽優弥、片瀬那奈、ムロツヨシ、安田顕、水﨑綾女
なんと2013年の『HK 変態仮面』の続編が登場である。あんなんだった前作だが、世間ではそれなりに評判もよくヒットもしたらしく続編がやってきてしまった。スタッフは前作と同じメンバーにカリスマキャバ嬢水崎綾女に演技派柳楽優弥も加えてさらにパワーアップ……と言いたいところだが、そこは福田雄一映画であるからね……
さて、普段は気弱な青年色丞狂介(鈴木亮平)はパンツをかぶると変態の血が覚醒し、人間の潜在能力が百パーセント解放される変態仮面に変身する。前作で怪人大金玉男(ムロツヨシ)を倒して日本に平和をもたらした狂介、いまや大学生になってピザ屋でバイトしているが、ピザ配達に遅刻してはオーナーに怒られてばかり。マッハピザは注文を受けてから二十分で客の元に届けるのを公約に元レーサーを店員に雇っているというスーパー早届けピザ屋なのだが、狂介は毎回時間を守れないでいるのだった。今日も今日とて最後のチャンスをもらい、配達に向かうとたまたま現金輸送車の強盗事件に遭遇する。いかん、まっすぐいかないと遅刻する……いやだが正義の変態、変態仮面だ。つねに肌身離さず持っている愛する彼女愛子ちゃん(清水富美香)のパンティをかぶれば変態仮面に変身し、たちまちのうちに強盗を……
ちょっと待て!「ピザ配達のバイトに遅刻するスーパーヒーロー」って『スパイダーマン2』かよ! って思ったら、これ本当に『スパイダーマン2』だったんだよ! 福田雄一いまごろ『スパイダーマン2』見たのかよ! っていやもちろんとっくに見ていて、今回シリーズ第二作だから『スパイダーマン2』をネタにしようとか思いついただけなんだろうが、オレがいちばんむかついたのはここである。おまえが!こんなもんで!あの!『スパイダーマン2』にオマージュとか! 本当におふざけでないんだよ。やっていいことと悪いことがあるんだって、学校で習わなかったのかね? ともかくこの映画も前作に引きつづき登場人物が全員自分の思ったことを口に出す副音声仕様なので、ものすごく馬鹿みたいなやりとりのすえ強盗を退治して一件落着。
さて、順調にいくかに見えたヒーロー生活だが最愛の愛子ちゃんからは嫌われていいる。
「わたしは変態が嫌いなの」
「いや変態なのは変態仮面のほうで、ぼくは断じて変態じゃないよ!」
こいつまだそんなこと言ってるのか。いいかげん自分の変態性を認められないのか。ともかく、もう大金玉男もいないんだから変態仮面に変身する必要ないでしょ、と前作でもらった愛子ちゃんのパンティをとりあげられてしまう狂介である。だが、水泳の授業のあと、女子大生のパンティがすべて盗まれる事件が起きる。狂介に疑いの視線を向ける愛子。だが狂介のほうは「クラス全員ノーパン」と聞いて頭に血が上ってそれどころではない。一方、新任の生物学の先生彩田教授(水崎綾女)は、放課後いきなり狂介を呼びだす。
「ねえ、つきあってくれない? あなた、タイプなの」
カリスマキャバ嬢からのまさかの逆ナンパに動揺を隠せない狂介だったが、「ぼ、ぼく、好きな人がいるので!」と逃げだす。だがその日、町中のパンティが空を飛んで消えてゆく珍事が発生。その夜あらわれたのは両手が掃除機の吸い口になった怪人、ミスターバキューム!
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tags: ムロツヨシ 副音声映画 安田顕 工藤哲也 柳楽優弥 水崎綾女 清水富美加 瀬川英史 片瀬那奈 福田雄一 鈴木亮平
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