『バースデーカード』 死後の手紙映画から、後半まさかの展開に笑いが止まらない! (柳下毅一郎)
→公式サイトより
『バースデーカード』
監督・脚本 吉田康弘
撮影 木村信也
音楽 きだしゅんすけ
出演 橋本愛、宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、中村蒼、洞口依子、木村多江、谷原章介
両親や弟と暮らす内気な少女・紀子は、優しくて明るい母・芳恵のことが大好きだった。しかし紀子が10歳のある日、芳恵は病気でこの世を去ってしまう。自分の死期を悟った芳恵は、子どもたちが20歳になるまで毎年バースデーカードを贈る約束をしていた。その約束どおり、紀子たちのもとには毎年、母からの手紙が届くように。
またしても死後の手紙映画!またしても宮崎あおいが諸葛孔明のごとくに未来を読み切ってしまうのか!? 死せる孔明、生ける仲達を走らすか? 不可能をも可能にする宮崎あおいの最強のヒロイン力がまたしても炸裂してしまうのか!?! と思って見に行ったらなるほど宮崎あおいの知謀は見事なもので、橋本愛をこれ以上ないほどに翻弄しまくるのだが、それが後半まさかの展開になって笑いが止まらなくなってしまった。いやあさすがにこの展開は予想できない! 笑った笑った。
「鈴木紀子です。紀子という名前は父がつけてくれました。世紀の紀に子供という意味で……」と語る鈴木紀子(橋本愛)。彼女は風光明媚な諏訪の地ですくすく育った。学者肌のパパ(ユースケ・サンタマリア)とヒマがあれば編みぐるみを作ってる優しくて物知りのママ(宮崎あおい)、それに引っ込み思案で本の虫でいじめられっ子の紀子と腕白小僧の弟正男の四人家族。小学校時代、「いつも本ばかり読んでるから物知りそう」という理由でクイズ大会のクラス代表に選出された(イジメか!)紀子、代表になりたかった女の子から「一問も答えないほうがいいわよ。あんたなんか脇役がお似合いなんだから」と締め上げられて一問も答えられないまま終わってしまう。ママは『パネルクイズ アタック25』で回答者よりも先に答えてしまうようなクイズ王なのに……だけど、図書館で「ママ、物語には主人公と悪役と脇役がいるでしょ。わたしは脇役でいいと思ってる」と言ったときには
「のんちゃん、ここにはこんなにたくさん本があるのよ。どの本にも主人公はいるの。あなたの本の主人公はあなただけなのよ」
そんなことを言ってくれたママ、不幸にも若くして癌を患い入院することになる。紀子の十歳の誕生日、外出して一家でピクニックに出かける鈴木家。ママは紀子に手作りのバースデーカードをプレゼントしてくれた。
「すてき! これから毎年欲しい!」
「わかったわ。じゃあ紀子が大人になるまで、毎年お誕生日にお手紙をあげるね」
「うん、約束だよ!」
だがその年、ママは死んでしまった……
翌年の誕生日、約束通り手紙が届けられる。
「毎日元気でいますか? ママは遠くからのんちゃんを見守っています……」
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