『DINER ダイナー』 できるのはひたすら派手に盛ることだけ。今年ワーストかという、心底疲弊する映画体験
→公式サイトより
監督 蜷川実花
原作 平山夢明
脚本 後藤ひろひと、杉山嘉一、蜷川実花
撮影 相馬大輔
音楽 大沢伸一
主題歌 DAOKO、MIYAVI
出演
藤原竜也、玉城ティナ、窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤工、佐藤江梨子、金子ノブアキ、川栄李奈、コムアイ、板野友美、木村佳乃、蜷川幸雄、角替和枝、小栗旬、土屋アンナ、真矢ミキ、奥田瑛二、MEGUMI、SHIHO
ヘマをしでかして殺人鬼集団にとっつかまった平凡な娘オオバカナコ(玉城ティナ)は謎のダイナーを差配する料理人ボンベロ(藤原竜也)に預けられ、命をかけてウェイトレスをすることになる。そこは客はすべて殺し屋という殺人的食堂なのであった……平山夢明原作を蜷川実花が監督した一本。ひどいという意味では本当にひどい、今年ワーストかという一本である。そもそも蜷川実花ほど芸のない監督も珍しいわけで、やることが見事に一本調子。それがこんなブラックユーモアを理解できるわけがないでしょ? できるのはひたすら派手に盛ることだけ。だから有名な役者を集めて、全員に同じように怒鳴る演技をさせ(それ以外に強い感情を表現する方法を知らない)、飛んだりはねたり吊ったりバラの花びらを散らしたりする。それを魚眼レンズで撮る。それが二時間続くわけである。心底疲弊する映画体験と言わざるを得まい。
そういうわけでオオバカナコはボンベロが支配する地下のダイナーに連れてこられる。ボンベロはどういう観客を意識してるのか大声で歌うようにセリフを言う男で(これいったいどういう演出のつもりなのか最後までまったくわからなかった)
「おれはー、ここのー、王だっ! 砂糖のひとつぶまでこのおれにしたがうっ!」
と普通ならこの時点なら客がみんな帰ってしまう奇怪なセリフを朗々と読みあげる。そこに放り込まれたオオバカナコ。実はこの前にそこにいたる経緯が語られるんだが、それがすごい。どこに行っても要らない娘扱いされていたカナコ、路上でティッシュ配りをしているときに、たまたまやってきたカーニバル衣装の一団を見て
「世界に色がついた」
とその地、メキシコはグアナファトに行きたいと思いつめる。で、旅行代理店に出かけると「30万円です」と言われる。そこでさっそくスマホで「即金 30万」で検索。出てきたバイトに応募。それは『パルプ・フィクション』をパクったと思しきキャッハーカップル強盗(斎藤工と佐藤江梨子)の逃走車の運転だった……ってなんでそんな仕事をネットで公募してるんだよ! で、当然のごとくその強盗は失敗し、捕まった三人は豚の仮面をかぶった騒々しい男(金子ノブアキ)に殺されそうになるが、何ができるかと聞かれて
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