『人間失格 太宰治と3人の女たち』 蜷川実花にできることといえば色調整でピーキーなギラギラの原色にして画面の上からヒラヒラと花びらを落とす、ただそれだけ
→公式サイトより
監督 蜷川実花
脚本 早船歌江子
撮影 近藤龍人
音楽 三宅純
出演 小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、山谷花純、壇蜜、近藤芳正、瀬戸康史、成田凌、千葉雄大、高良健吾、藤原竜也
主役は太宰治だが太宰治原作ではない蜷川実花監督の文芸エロ映画である。最近はすっかり「芸術のためなら」系女優を脱がす文芸エロ監督の座を園子温から奪った感のある蜷川実花、太宰治を取り巻く三人の女性として妻に宮沢りえ、愛人に沢尻エリカ、心中相手に二階堂ふみと脱げる女優を揃えて堂々たる文芸エロ大作と相成った。とはいえ一本調子の演出はあいかわらずで、というか蜷川実花にできることというのは色調整でスライダーを一番上まであげてピーキーなギラギラの原色にして画面の上からヒラヒラしたもの(=花びら)を落とす、ただそれだけである。あとは作家と編集者が集まる文壇バーで、みながガヤガヤ騒いでいると、一人が立ち上がって大声で叫び、すると全員がピタリと黙る。演説→静聴のくりかえし。さすがに馬鹿じゃないかと思った。
一九四六年、東京。二人の子供を持つ作家太宰治(小栗旬)は飲み屋で坂口安吾(藤原竜也)にからまれ、編集者佐倉(成田凌)には約束の「傑作」にはやくとりかかるようせかされている。太宰にはアイデアがあった。上流階級の没落令嬢太田静子(沢尻エリカ)の書いている日記をいただき、それを元に小説を書こうというのだ。だが、すぐに「じゃあ日記見せてよ」と言う太宰の思惑は静子に見透かされており、「日記を見せてほしければ家まで来い」と言い渡される。「どうしたものか……」と悩む太宰だが、色と欲の二本立てにはさからえず、相手の邸宅へ出かける。めくるめく愛欲の日々。静子は日記のネタを提供することには同意するが、妊娠中の妻(宮沢りえ)への対抗心から自分も子供がほしいと言いだす。ヤバいな~と思いながらもつい抱いてしまう太宰なのであった。
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