柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『カイジ ファイナルゲーム』 ・・・最初から最後までボリュームマックスで藤原竜也が叫びまくる。もうすごいよ。絶叫度は一万点差し上げる。

公式サイトより

 

カイジ ファイナルゲーム

監督 佐藤東弥
原作 福本伸行
脚本 福本伸行、徳永友一
撮影 小原崇資
音楽 菅野祐悟
出演 藤原竜也、福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎、松尾スズキ、生瀬勝久、天海祐希、篠田麻里子、伊武雅刀

 

藤原竜也の絶叫芝居でおなじみ『カイジ』シリーズ第三作。福本伸行の原作コミックから心理戦読みあいで心の声を全部発声する余白のない作りだったわけだが、それが絶叫しかできない藤原竜也を主演に得たおかげで最初から最後までボリュームマックスで藤原竜也が叫びまくるシリーズの(一応)完結編。もうすごいよ。最後クライマックスなんか一語ずつ区切って息継ぎしながら叫んでますからね。藤原竜也こそ日本最強のスクリーミング・クイーンといっても過言ではあるまい。絶叫度は一万点差し上げる。

 

 

2020年、東京オリンピック終了後未曾有の不景気に見舞われた日本。ハイパーインフレで缶ビール一本千円とかになり、カイジたちは派遣労働で苦しんでいる。影の首相とも言われる首相秘書官高倉(福士蒼汰)は財政赤字に苦しむ政府のために預金封鎖して国民の金融資産をすべて接収することで政府の赤字を相殺するというウルトラC、というか経済学者から総ツッコミされそうなトンデモ計画を思いつく。いいですか、政府債務=民間貯蓄だから、これまったく無意味な計画なんですよ。詳しくは経済学に詳しい人に聞いてください! これを察知した不動産王東郷(伊武雅刀)は自分の財産をすべて投じて政治家を買収し、その計画を食い止めようと考える。いや買収ってどうなんだよ、と思うわけだが、そこは突っ込まないでおいてあげて(突っ込みどころは他にいくらでもあるから)。しかるに全財産五百億円では買収予算に足りない。最低でもこの倍、一千億円は必要だ。となるとこの金をギャンブルで倍に増やすしかない(←)。そんな勝負ができるのはカイジたちがせっせと掘った地下に建設された一大レジャーランド“帝愛ランド”だけだ(漫画読んでないのでそんな理由でカイジが地下労働してたとは知らなんだ)。というわけで人材派遣業で財産を築いた派遣王竹中(消し線)黒崎(吉田鋼太郎)と全財産を賭けた〈最後の審判〉対決をすることになる。

 

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tags: 伊武雅刀 佐藤東弥 副音声映画 吉田鋼太郎 天海祐希 小原崇資 徳永友一 新田真剣佑 松尾スズキ 生瀬勝久 福士蒼汰 福本伸行 篠田麻里子 菅野祐悟 藤原竜也 関水渚

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