柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『青の生徒会 参る! Season1 花咲く男子たちのかげに』 戦隊モノよろしく五人の「生徒会」が「青の生徒会、参る!」。その決めポーズの安いこと安いこと……

公式サイトより

青の生徒会 参る! Season1 花咲く男子たちのかげに

監督 進藤丈広
脚本 島野伸一
撮影 田島茂
音楽 百瀬巡
出演 凰稀かなめ、結木滉星、金城茉奈、西川俊介、肉汁、鎮西寿々歌、輝山立、水石亜飛夢

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「かつて日本が平成の時代だったころ、全国の高校は、悪夢のスクールカーストに支配されていた。そんな混乱の時代に救世主が舞い降りたーー」ってそもそもスクールカーストって言葉を誤解しているとしか思えないのだが、そんな高校に颯爽とあらわれて、学校を支配する悪者を退治する。

「悪事やめますか、それとも学校辞めますか?」

 それが「青の生徒会」だ! 主演は元宝塚歌劇団の宙組トップスター凰稀かなめで、彼女が生徒会を率いる謎の教師「向井青」を演じる。だから「青の生徒会」なんですね。個人的にはこの「宙組トップスター」という肩書きがどのくらい貴重なものなのかよくわからないのだが、こんな映画が作られてしまうくらいには有名で、この程度の映画にしか出られない程度の人気度ということか。まあ映画の安さについてはいまさら指摘するまでもなく、戦隊イケメンとか雑誌モデルとか2.5次元とかが、道端で突っ立って会話する場面だけで構成された映画と言えるだろう。しまいに戦隊モノよろしく凰稀かなめを中心に五人の「生徒会」がポーズして「青の生徒会、参る!」って立ってみせるんだが、その決めポーズの安いこと安いこと……

 

 

さて、生徒会の面々に「文化祭と言えば祭り。祭りは日本の心だ!」と暑苦しい説教をしている生徒会長森園祥平(結木滉星)。だがそこにやってきた教師向井青(凰稀かなめ)から、「悪事に苦しんでいる学校がある。全員、転校!」と命令。文句を言いながらみんな揃って転校することになる。

転校先では森園はいきなり三時間にわたる長広舌をぶって注目を集め、梨夏(金城茉奈)は「おひかえなすって……人よんで天才女子高生ギャンブラー」と見ている人全員が凍てつく仁義を切り、弁当男子時生(肉汁)はキャラ弁を自慢する。この学校では運動部が迫害され、グラウンドを使わせてもらえないのだという。誰がそんなことをやっているのか? 森園が生徒に聞き込みをしていると、あらわれた謎の男(水石亜飛夢)はいきなり花札を手裏剣のように投げつけ、「気をつけることですよ」と警告する。森園はサッカー部の調査に赴くが、唯一の部員(輝山立)は「こんなところに来ないほうがいいよ!」と森園を追い払おうとする。だが、森園は

「おれが、その悲しみに寄り添うよ」

 そう、彼は「悲しみに寄り添うもの」、他人の悲しみの記憶を読み取ることができる異能力者だったのだ! ってなんでこんな話に超能力者なんか出てくんだよ! ともかくその記憶を読んだおかげで二人きりだったサッカー部員の相方が、麻酔薬を染み込ませた花札使いが率いるグループによって拉致されたということがわかる。あの花札男……それは学園を仕切る悪のかるた部の仕業だった。どうやらかるた部は賭場を開いて荒稼ぎをしているらしい。となれば当然「天才女子高生ギャンブラー」の出番である。

 

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tags: 2.5次元映画 凰稀かなめ 島野伸一 水石亜飛夢 田島茂 百瀬巡 結木滉星 肉汁 西川俊介 輝山立 進藤丈広 金城茉奈 鎮西寿々歌

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