柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『STAND BY ME ドラえもん2』 駄目人間のび太としずかの共依存カップルが気持ち悪い。ここまで来たら涙も出てこないよ! 

公式サイトより

STAND BY ME ドラえもん2

監督 八木竜一
共同監督・脚本 山崎貴
原作 藤子・F・不二雄
音楽 佐藤直紀
主題歌 菅田将暉
出演 水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、宮本信子、妻夫木聡、バカリズム、羽鳥慎一

 

前作STAND BY ME ドラえもんによって、「『ドラえもん』はのび太がしずかと結婚する話」と総括してしまった山崎貴+八木竜一コンビ、しょうこりもなく「ドラ泣き」第二弾を発表。今回は……のび太としずかの結婚式。ところが式がはじまらんとしているにもかかわらずのび太は会場に来ない。はたして二人は結婚できるのか……ってまだ結婚問題やってるのかよ!? 正直、なにか妙なコンプレックスに取り憑かれてるんじゃないかと思わずにいられない。そんなに結婚が好きなのか!? 結婚三部作とか作りそうな勢いじゃないか(一応言っとくけど、そんなことやらなくていいからね!)。ドラゴンクエスト ユア・ストーリーもこの二人のコンビ作だが、あれも結婚騒動だった。どういうコンプレックスなんですかねこれ。で、見てみたら見る前に思ってた以上に最強に気持ち悪くて、「野比しずか」がどうしたとか、泣かせるためにおばあさん出してんじゃねえよとか言っている場合じゃなく、この共依存カップル早くなんとかしないと……と思わずにいられない大惨事。

 

 

今日も今日とて隠していた零点のテスト答案が見つかり、お母さんから大目玉をくらっているのび太。あまりに叱られるので、「ぼくは実はこの家の本当の子ではないのでは?」と思いはじめる。まあいかにものび太な感じの見慣れたダメ人間っぷり。ただし映像の方は例によって不気味な3DCGである。しずかはおなじみの顔半分黒目みたいなデザインで登場する。のび太はおばあちゃんがこしらえてくれたクマのぬいぐるみが出てきたことから、唯一自分をかわいがってくれたおばあちゃんに会いにいきたいとドラえもんをこきつかってタイムマシンに乗り、数年前のおばあちゃんに会いに行く。いきなり十歳になったのび太が来てもとりたてて驚きもしない祖母(宮本信子)は、

「のび太のお嫁さんの顔が見たいねえ」

 と言い出す。「もちろんだよ!」となんのためらいもなくドラえもんの力を乱用するのび太、「タイムテレビ」で結婚式の様子を見ようとすると、そこに映るのはのび太(大人)があらわれず、ホテルの前で狼狽しているジャイアン(大人)やスネ夫(大人)たちの姿。これは一大事!とタイムマシンで未来へ行くドラえもんとのび太(子供)である。

それにしてもドラえもんの世界、おばあちゃんがいるのが完全な昭和の日本家屋。それから五年後くらいの現代がのび太の生きている時間を超越した世界で、そこから15年後ののび太結婚式の時代は自動運転も実現したスーパーハイテクな未来社会。冷静に考えはじめると頭がおかしくなるが、平成30年間がまるごと存在しないと思えばこんな具合にもなるんだろうか。

 

(残り 1773文字/全文: 3045文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: かかずゆみ バカリズム 佐藤直紀 八木竜一 大原めぐみ 妻夫木聡 宮本信子 山崎貴 水田わさび 羽鳥慎一 菅田将暉 藤子・F・不二雄

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ