『ハチとパルマの物語』 ハチ公も秋田犬もほぼ関係なし!これで「共同製作」と言えるのか、秋田映画として文化庁の支援を受けていいのかなど、疑問と謎ばかり
→公式サイトより
監督 アレクサンドル・ドモガロフ・Jr.
脚本 アレクサンドル・ドモガロフ・Jr.、村上かのん
プロデューサー 益田祐美子
主題歌 堂珍嘉邦
出演 レオニド・バーソフ、ビクトル・ドブロヌラボフ、バレリア・フョドロビチ、ウラジミール・イリン、アレクサンドル・ドモガロフ、渡辺裕之、藤田朋子、壇蜜、山本修夢、阿部純子、堂珍嘉邦、アリーナ・ザギトワ、早咲
なんだこれ!「ほとんどパルマの物語」などと言われている日露合作映画、ハチ公も秋田犬もほぼ関係なし! 頭と結末にロシア人が秋田県を訪れて、「秋田犬は忠実な犬だそうですねえ」などと言うだけ。残りの部分、上映時間二時間のうち一時間五〇分はモスクワ、ヴヌコーヴォ国際空港で主人の帰りを二年間待ち続けた空港犬パルマの実話に基づくストーリー。本国ロシアではパルマパートだけのロシア映画として公開済だという。壇蜜もザギトワももちろん日本版特別出演なので、ロシア版には影すら映っていない。これで「共同製作」と言えるのか、そもそも秋田映画として文化庁の支援を受けていいのかなど浮かぶのは疑問ばかりで湧いてくるのは謎ばかり。これも地方映画の闇案件なのか。なお、製作している平成プロジェクトはアレクサンドル・ドモガロフも出ている愛媛映画『ソローキンの見た桜』も製作しているので、そこらへんから生まれた「合作」事情なのかもしれない。
秋田県大館市、にぎにぎしく開かれる秋田犬の里オープン記念式典。館長(壇蜜)や大館市長(特別出演)のスピーチ、そしてアリーナ・ザギトワからのビデオメッセージなどが流れる中、孫娘をつれてやってきた初老のロシア人(アレクサンドル・ドモガロフ)は秋田犬会館に行く。そこに飾ってあった「忠犬パルマ」の写真を見て、彼はパルマと自分とのかかわりを語りはじめるのだった……
一九七七年。モスクワ、ヴヌコーヴォ空港。チェコ勤務が決まった中年男ポルスキーは愛犬アルマを一緒に連れて行こうとする。だが、持っていたはずの検疫証明書が見つからない。泣き落としも賄賂も通じず、どうしてもダメと言われたポルスキー、仕方ないと犬を放して一人で飛行機に乗りこむ……って酷いよ! 捨ててるじゃないか! この時点で人間=悪、パルマは忠犬と言うよりは人間の身勝手に苦しめられた無垢な犠牲者と確定。
というわけで捨てられてしまったパルマ。滑走路をうろうろしているうちに警備員に追われるが、賢いので巧みに逃げて、フェンスに開いた穴から空港外の空き地に住んでいる整備士セルゲイ(ヴィクトル・イリン)のあばら家に逃げ込む。以後、そこを根拠にしてはイリューシン機が着陸するたびに冷血ポルスキーが迎えに来てくれないかと見にいき、警備員たちに追われて空港中を走りまわるというドタバタが続く。いや、警備員、さっさとフェンスの穴塞げばいいんじゃないかと思いましたけどね。まあ牧歌的な一九七〇年代だから許される描写とはいえ、セキュリティのかけらもない空港ってどうなのって正直……
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