柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『呪い返し師―塩子誕生』 最後はエル・カンターレに祈ればなんとかなる。トンチキな曲があるかぎり幸福の科学映画は永遠だ

 

『呪い返し師―塩子誕生』

監督 赤羽博
原作・製作総指揮 大川隆法
脚本 大川咲也加
企画 大川紫央
出演 希島凛、福永紗也、鈴木まりや、吉田宗洋、土平ドンペイ、モロ師岡、長谷川稀世、立木文彦、目黒祐樹

三年前三月三日 鎌倉

♪また鎌倉に行ってきました~わたしの心のふるさとはここ~

 ああ、誰が脚本を書こうが、誰が監督しようが、このトンチキな曲があるかぎり幸福の科学映画は永遠だ。本作は脚本大川咲也加、企画に大川隆法の二番目の妻である大川紫央をたて、主演は希島凛。千眼美子、長谷川奈央に続く幸福の科学女優三番手というポジションの女優である。まあハッピーサイエンス的にもいつまでも千眼美子頼みってわけにもいかないでしょうから、彼女にも一本立ちしてほしいんでしょう。

そんなわけで鎌倉を一人歩く女(希島凛)。

♪人間界の恋なんてもうわたしにはできません~ 鎌倉の大仏しかもう愛せなくなりました~

 いやそこは高徳院じゃなくて幸福の科学鎌倉精舎だし、目の前にあるのは大仏じゃなくてハリボテだ! そんなわけで大仏しか愛せない女の活躍が描かれる!

 

 

序 生霊

そこは賀茂野女子校オカルト研究会。部員の一人、奈々子(福永紗也)はある日、授業中に息が苦しくなって倒れてしまう。どこからか死ね!の声が聞こえ、首に手の形の痣があらわれる。これは誰かに呪いをかけられたに違いない!と考えたオカルト部員たち、さっそくオカルト雑誌をひもとき、最新の都市伝説である「呪い返し師」の存在を知る。語呂が悪いのはハッピーサイエンス的にはありがちなこと。オカルト部員たちは都市伝説にしたがって「呪い返し師」を呼び出す儀式を執りおこなう。7のつく日の午後7時7分、地面に五芒星の魔法陣を書いて盛り塩を盛り、そこに願いを書いた紙を置いて燃やす。何この和洋折衷な儀式。だが、そのとき例によってトンチキな歌が流れだす!

♪くるぞくるぞくるぞー! きたぞきたぞきたぞー! とうとう塩子がやってくる!

 一陣の風とともにそこにあらわれたのはハッピーサイエンスが(というか大川総裁が)大好きと思われる巫女装束コスプレの「呪い返し師」塩子(希島凛)なのであった。

 

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