柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い』 どこだそれは!? 富山県射水市です! いくらなんでも祭りのためにそこまでするのか!? 

公式サイトより

僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い

監督 本多繁勝
脚本 西永貴文
撮影 山下悟
出演 酒井大地、原愛音、宮川元和、長徳章司、金児憲史、澤武紀行、お姉ちゃん(雷鳥)、山崎広介、泉谷しげる、立川志の輔、丘みつ子

 

どこだそれは!? 富山県射水市です! そうこれ自体はよくある富山県のお祭り(射水曳山)映画なのだが、本作がすごいのは祭りをやりたいがために祭りの会長(泉谷しげる)の死を隠蔽しようとするところ。いやいくらなんでも祭りのためにそこまでするのか!? ある意味、大綱引に人生をかけるよりもヤバいのではなかろうか。映画自体は元日テレのディレクター、石橋冠が劇場用映画『人生の約束』を射水市で製作したのがきっかけで、監督補だった本多繁勝と射水市とのコネクションが生まれ、出来上がったのがこの映画だという。射水市内川地区は「日本のヴェニス」とも呼ばれる風光明媚で知られる土地だそうだが、宝物はそれだけではない。ラーメンも美味いのだ!というわけでそんな射水市のお宝が一望できる映画なのである。

 

 

物語の主人公は射水市の三人組の高校生。何かと無駄に騒ぎ立てる癖があり、もの(ラーメン)を食べると「うまー!」、お風呂(銭湯)に入ると「あちー!」と大声を出すのでうるさくてしょうがない。今日も今日とて自転車で走りまわりながら、ビデオで映画撮影中なのは銭湯の息子トオル(酒井大地)と東京から引っ越してきて中高と同級だったアゲル(宮川元和)、寿司屋の息子ヨシキ(長徳章司)の三人組である。映画ごっこで服が血糊まみれになったので銭湯に入っていると、女湯のほうから同級生の美少女カリン(原愛音)の声がする。さっそく覗こうと肩車して……って駄目だろ! さっそくトオルの祖父(泉谷しげる)が雷を落とし、トオルから罰金を取り立てるが、周囲は「あんたも昔は……」とたしなめる。いや、こういうネタで笑いを取りにいくとか、あまりにアップデートされてなさすぎ。それがテレビ局の製作者のせいなのか、富山のお国柄なのかは知るよしもないが。

さらに罰として蔵の掃除を命じられた三人組。ところがそこでも片付けるどころか、蔵に詰め込まれた古書をはじめとするお宝を並べて「ピタゴラスイッチ」ごっこをはじめ、あまつさえそれをYouTubeに投稿して喜んでいる始末。それを見た祖父、さらに怒りを爆発させ、血圧があがり、怒りのあまり……ばったり倒れてしまった! そのまま帰らぬ人になってしまった祖父である。

 

(残り 1394文字/全文: 2489文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: お姉ちゃん(雷鳥) お祭り 丘みつ子 出水市 原愛音 地方映画 宮川元和 富山県 山下悟 山崎広介 本多繁勝 泉谷しげる 澤武紀行 立川志の輔 西永貴文 酒井大地 金児憲史 長徳章司

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ