『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』 ヒロポンもなければ志願の強制もない、きれいな特攻隊員しかいない世界の英霊ファンタジー。
→公式サイトより
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
監督 成田洋一
原作 汐見夏衛
脚本 山浦雅大、成田洋一
撮影 小林拓
主題歌 福山雅治
出演 福原遥、水上恒司、伊藤健太郎、嶋崎斗亜、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、中嶋朋子、松坂慶子
現代の女子高生が戦時中にタイムスリップして陸軍航空隊の特攻兵士と恋に落ちるという小説投稿サイト発の女性向けラノベの映画化である。いやついにここまで来たのか。いや、ここでいうタイムスリップというのは「異世界転生」くらいの意味なのだろうから、会う人に片っ端から「日本はもうすぐ負ける。でも(今よりはるかに)いい国になるから」と言ってるヒロインが憲兵にとっ捕まらないのも、特攻兵が全員澄んだ目で「お国のために死んできます!」とさわやかに語る美しき理想の特攻隊員であるのも、突っ込んでもしょうがないことである。むしろファンタジーと思えば結構よくできているというか、話があくまでもヒロイン個人のレベルに収まっていて、「あなたの犠牲のおかげで今の日本があります」みたいなことを言いだしたりしない分にはこの手の英霊ファンタジーの中では良心的な方だとさえ言えるかもしれない。まあ、そうなればそうなったで、少女一人の更生のためにわざわざタイムスリップまでしたのかよ、ということになるのだが……
https://www.youtube.com/watch?v=op-4vT2s6Ok
悪夢のような世界で、わたしははじめての恋をした……高校3年生の加納百合(福原遥)は何事にも不貞腐れた女子高生。進路志望にも「就職(希望なし)」とやる気のない返事をして、教師から「おまえの成績だったら大学にも行けるんだから……」と水を向けられても無視。三者面談にスーパー勤務の母(中嶋朋子)が遅れてくると「……魚臭い……」と吐き捨ててとっとと帰ってしまう。これ、彼女が同級生からダブルワークで頑張る母を馬鹿にされるイジメを受けているのだが、それをそのまま母にぶつけているのである。ひどくないですか? 家に帰ると、娘を大学にやるのは死んだ父親との約束だったのだからお金なら大丈夫、と言う母に向かって、
「警察官だったお父さんは、溺れそうな子供を救って自分は死んじゃったんでしょ。おかげでお母さんはこんなに苦労してるんじゃない! 自分の子供のことなんかどうでもよかったのよ! 今わたしたちがこんな暮らしをしてるのも、全部お父さんのせいよ!」
と暴言を吐く。本当に最悪だなこいつ。思わず手をあげてしまった母。百合は家を飛び出し、雨の中さまよったあげく山の中の防空壕の跡に迷いこむ。雨宿りをするうちに疲れて眠ってしまった百合、翌朝めざめると防空壕の外は一面の田圃、道路は舗装もない泥道。え……ここは?
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