「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

【9月22日・大阪】東アジア、劇場型政治、ヤクザの抗争、沖縄、ヘイトスピーチ──伝え続けることの意味を考えたい 『石丸次郎 × 西岡研介 × 松本創 × 安田浩一 トークイベント』開催を前に 

 差別と排他の”気分”に満ちている。
 不寛容の言葉があふれている。
 偏狭なナショナリズムと安っぽいポピュリズムの空気が流れている。
 そんな時代に、のんびり添い寝している暇などないだろう。
 私はメディアの世界に生きているのだから──。
 うなだれて歩くことも、片肘ついて傍観することも、何事もなかったように縁側で寝そべることも拒否したい。
 そんな思いを抱えたジャーナリストが、私の呼びかけに応じてくれた。

 東アジア、劇場型政治、ヤクザの抗争、沖縄、ヘイトスピーチ。様々な事件や事象をテーマに、伝え続けることの意味を考えたい。メディアが果たすべき役割を議論したい。いま、求められる報道とは何かを、集まったみんなで語り合いたいと思っている。       

 石丸次郎さんは、言わずと知れた国際報道の第一人者だ。
 ひたすら”現場”にこだわり、ハードルの高い中国、北朝鮮の取材を重ねてきた。強靭な足腰と冷静な視点に支えられたリポートは、いつも私に強い刺激を与えている。知られざる東アジアの風景を、そこに生きる人々の言葉を、誇張も委縮もなく届けることのできる稀有な存在だ。

 西岡研介さんは鋭い嗅覚で数多くのスキャンダルを追い続けてきた。
 彼は猟犬だ。ただし首輪はない。
 大企業労組もヤクザも人気作家も、西岡さんの地を這うような取材で壁際に追い込まれ、吠えられ、そして噛みつかれた。西岡さんが『噂の真相』編集者だったころに、その脚力と筆力を目の当たりにした。それ以来、ずっと私は彼を追いかけている。

 松本創さんは、『誰が「橋下徹」をつくったか─大阪都構想とメディアの迷走』(140B)で今年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した。同書が放つのは凡百な”橋下批判”ではない。ポピュリズムに迎合し、権力者を忖度し、堕落の道を歩み続けるメディアの姿を、詳細に描いたものだ。
 腐臭に鼻をつまむだけならば誰でもできる。松本さんは汚泥の中に飛び込み、必ず玉を拾い上げる。いま、もっとも旬なライターである。

 この3人に共通するのは、安易な妥協を排し、ぶれることのない軸足を持っていることだ。
 そして、大手マスコミからミニコミまで、メディアの隅々まで知り尽くしているということ。
 さらに、これはとても重要なことなのだが、いずれも関西を拠点としている点にも注目したい。情報の一極集中と言われるなか、しかし、彼らは関西にとどまりながら日本社会を、世界を、報じてきた。その意味は、きっと今回のイベントで明らかとなるはずだ。

 会場に足を運んでくださるみなさんにも、ぜひ、議論に参加していただきたいと思っている。
 筋書きはない。テーマから逸脱しない限り、発言は自由だ。とりあえずの進行は私(安田)が引き受けることになるが、疑問や批判も引き受ける。
 多くの方の参加を期待しています。
 会場でお会いしましょう。(安田浩一)

安田浩一ウェブマガジン主催トークイベント 『「ペンの力」とメディア〜レイシズム、ポピュリズム、ナショナリズムと闘うには』 石丸次郎 × 西岡研介 × 松本創 × 安田浩一

 安田浩一ウェブマガジン主催・トークイベントが大阪で開催決定!

 先頃の都知事選でも見られた、テレビやネット、新聞までも連動させた大阪発・橋下流劇場型政治の影響やポピュリズム、また、国や大阪市によるヘイトスピーチ対策法や条例施行後も未だ蔓延する極右・排外・差別煽動の動きに、今後、どう立ち向かっていくべきか。
 現在、在阪メディア各局での「ネトウヨ迎合番組」が続く一方、主要メディアが採り上げない沖縄・高江の問題をはじめ、在京キー局や新聞までもが現政権に「萎縮」する中、弱くなったと言われてしまう「ペンの力」や「メディア」はどうあるべきか、どこに行くのか。

 さまざまな「現場」に立ち続ける4人が、現状を問い直す。

9月22日(木・祝)15:00~17:00(開場14:00)
主催:安田浩一ウェブマガジン
協賛:株式会社140B
会場:大阪/福島 PINEBROOKLYN(パインブルックリン)
(JR東西線「新福島駅」から徒歩5分 ・阪神本線「福島駅」東改札口から徒歩3分 ・大阪環状線「JR福島駅」から徒歩7分)アクセスはこちら

【チケット】

一般・前売:2,000
一般・当日:2,500
学生(前売、当日とも):1,000
(学生証は国立公立学校または学校法人が発行したもの。前売、当日券ともに入場時に学生証のご提示をお願いいたします。ご提示いただけない場合は、一般でのご入場となり、追加料金を頂戴いたします)

前売チケットは専用サイトからご購入いただけます。チケットページはこちら
スマートフォンをご利用でない方は、メール予約も受け付けます。件名には「9/22イベント予約」とお書きの上、メールに代表者のお名前、連絡先電話番号、枚数(最大6枚まで)を明記し、「yasudawebmag@gmail.com」まで送信ください。こちらからの予約確認メール返信をもって予約完了となります(チケット代金は当日、受付にてご精算ください)。
メール送信3日以内に返信がない場合には、迷惑メールフォルダ等をご確認ください。なお、メール予約は920日(火)23:59までの受信分で締め切らせていただきます。

【登壇者】(五十音順)

石丸次郎(いしまる じろう)
1962年生まれ。アジアプレス大阪事務所代表。朝鮮世界の現場取材がライフワーク。北朝鮮取材は国内に3回、朝中国境地帯には1993年以来約100回。これまで900超の北朝鮮の人々を取材。2002年より北朝鮮内部にジャーナリストを育成する活動を開始。北朝鮮内部からの通信『リムジンガン』 の編集・発行人。主な作品に『北のサラムたち』(インフォバーン)、『北朝鮮に帰ったジュナ』(NHKハイビジョンスペシャル)など。

西岡研介(にしおか けんすけ)
1967年生まれ。同志社大学法学部卒。『神戸新聞』、『噂の眞相』、『週刊文春』記者などを経てフリーランスの取材記者に。『マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)で第30回講談社ノンフィクション賞受賞。2015年には『百田尚樹「殉愛」の真実』が、Amazon売れ筋ランキング1位になるなど、大きな話題に。執筆テーマは、松本創との共著『ふたつの震災[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(講談社)といった震災や、『山口組 分裂抗争の全内幕』(宝島社)といったアウトローまで多岐にわたる。

松本創(まつもと はじむ)
1970年生まれ。『神戸新聞』記者を経て、フリーランスのライター/編集者となる。関西を拠点に、政治・行政、都市や文化などをテーマに取材し、人物ルポやインタビュー、コラムなどを執筆。著書に『誰が「橋下徹」をつくったか 大阪都構想とメディアの迷走』(140B)、『ふたつの震災[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介との共著/講談社)など。『誰が「橋下徹」をつくったか』は本年度の第59回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞。

安田浩一(やすだ こういち)
1964年生まれ。『週刊宝石』、『サンデー毎日』記者を経て2001年よりフリーに。労働問題、差別、人権問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)で日本ジャーナリスト会議賞、第34回講談社ノンフィクション大賞受賞。『ルポ 外国人『隷属』労働者』(G2vol.17)では第46回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。その他、『外国人研修生殺人事件』(七つ森書館)、『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社)、『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文藝春秋)、『ネット私刑(リンチ)』 (扶桑社)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)など著書多数。

【注意事項】

■チケットキャンセルの場合の払い戻しはお受け付けできません。あらかじめご了承ください。
■チケット料金は税込価格です。
■開場は開演1時間前の14時です。
■イベントの無断録音、録画、撮影はご遠慮ください。
■お席は自由席となっております。当日、ご来場いただいた順にお座りいただけます。また、前売にて予定枚数終了となった場合、当日券の発売はいたしません。
■付き添いが必要な障がい者の方に限り、介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参ください)
■会場内は禁煙です。会場外に喫煙所のご用意がございますので、そちらのご利用をお願いいたします。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ