限界突パ

【We love MARINES】ロッテの投手陣は「12球団トップ」。「エース・佐々木朗希は4年目の大谷翔平より上」。元ロッテ・荻野忠寛さんと語る【前編】

昨季は5位と思うような成績を残せなかった千葉ロッテ。吉井理人新監督を迎えた今季は首位戦線にいる。目立った補強があったわけではない中での安定感のある戦いぶりは2005年から遠ざかっているリーグ制覇の期待を抱かせる。

千葉ロッテの何が変わり、これほどの躍進につながっているのだろうか。
元ロッテのリリーバーで一時代を築いた荻野忠寛さんと、今季のロッテが好調である理由を探った。
吉井監督の采配力やエース格に成長した佐々木朗希投手への期待。そして現役時代を振り返り強いロッテにあった要素を解き明かしてもらった。(取材・文 氏原英明)

 

ーー昨季はリーグ5位。低迷したというイメージはありませんが、これほどの躍進を予想できたかというと難しかったと思います。荻野さんからみて今年のロッテの強さはどう映っていますか。

荻野 今年の強さは吉井監督の存在と言っていいでしょうね。3年前ぐらいからコーチをやっていて、去年はコーディネーターとして全体を見ていた。吉井さんがチームに来たときから、選手を目先じゃなくて大事に育てようとしてきたと思うんです。それがいい形になってきてピッチャー陣の質が高くなっっていると思います。佐々木朗希投手だけが良いんじゃなくて、全部がいい。いい選手が多いので1人の投手にしわ寄せがいかずコンディションを保ちながらうまく休ませながら投げることができている。その循環がうまくいっていると思います。

ー荻野さんは社会人野球チームの指導をされていて、プロに選手を送る側の立場にあると思います。そんな立場から見ても、ロッテには入る隙間がないと感じますか。

荻野 12球団全部見ているわけじゃないですけど、(ロッテは)トップレベルレベルの選手層ですよね。吉井さんがピッチングコーチやっていたときから大事に育てるというか、全員を成長させようと思って、やってきたのが実を結んでいます。

ー決して防御率がリーグトップではない。突出した存在というよりも、バランスよく選手がいる。

荻野 他のチームとの一番の違いは、目先の試合だけを見ているわけじゃないことです。目先の試合だけ見れば、もっと防御率を下げることは可能でしょう。でも、吉井さんはシーズンの全体を見て「ここはこのメンバーは絶対使わない」。「あそこはこっちのメンバーで何とか頑張れ」みたいな。そういうやり方をしている。選手を育てながら勝とうとしているのが選手起用からもよくわかるんです。

ーーそういうビジョンのチームは過去になかったと思います。すごく難しいことだと感じます。

荻野 僕の知ってる限りはそういうふうにやってるチームは多少あったかもしれないですけど、吉井さんほど振り切っている人はいないんじゃないでしょうか。ブルペンデーのやり方とかもすごいですよね。思い切りがすごくいいというか、我慢しながらやっています。そこは他チームとは全く違うと思います。

ーー佐々木朗希投手については今年はどういうふうに見てますか。
荻野 まだフリーじゃなくて投球制限をかけながら、段階を踏んでるところだと思います。ただ段階を踏む終盤にはきています。制限をかけながら疲労させず、かつ、投げさせすぎない。階段をうまく昇っています。昨季は80、90球ぐらいで球速が落ちてきたら、休息期間を与えていました。今年は試合によっては110球を超えていましたし、確実に段階を踏んで、ステップアップさせている。なので、しっかりプランができてるんだと思うんですよ。

ーーピッチャーとしての成長はどのように見ていますか。
荻野 本当に毎年成長しています。単純に球の速さだけ見ても少しずつ速くなってますし、変化球の精度、去年はほとんど投げなかったスライダーも投げています。スピードだけじゃなくてあらゆる面でレベルアップしてるのが見てわかる。これはすごいことです。

ーーよく大谷翔平選手(エンゼルス)と比較されます

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