限界突パ

【限界突パの視点】勝利数、QSはもう古い?プロ野球界の次なるtrendとは。

時代は確実に新しい方へと向かっている。

「何事にも先手先手で情報を仕入れておくようにしておかないと遅れてしまう。1年後に気づいたのではそれはもう遅い」

そう語っていたのはソフトバンクのローテーション投手を務める石川柊太だった。石川は元チームメイトの千賀滉大(メッツ)とともに「新しいことへの探究」を目指してきた選手の一人だ。トレーニング方法やデータの活用など、情報へ聞き耳を立てては前進を目指してきたのだった。

今や情報弱者であることは一般社会にとっても、そして、プロ野球選手にとっても、致命的となる。チームビルディングから人材育成に至るまで、「情報をいかに得ていくか」が勝負の境目になっていると言える。

そもそもの始まりは野茂英雄(現・パドレスアドバイザー)のメジャーリーグ挑戦と言えるだろう。
1995年当時は異端児と言われた野茂の挑戦も一度成功をおさめると、そこから学ぶことばかりだった。先発投手の100球制限やクローザーの前を務めるセットアッパーの存在、あるいは、カットボールやツーシームという新球種など、野茂の成功により、日本野球界がメジャーリーグから学んだことは少なくなかった。

いわば、日本人メジャーリーガーの成功はたくさんの学びを得られたという意味において、非常に大きなものとなったわけである。そして、今や、世界中の情報は気軽に手に入れられる時代。いかにして、情報に敏感になるかだろう。

そんな中で昨今のプロ野球を見ていると、選手のコンディションへの理解は年を追うごとに高まっているように思う。例えば、昨季、ロッテの佐々木朗希が完全試合を達成したが、翌登板では8回まで完全に抑えながら降板した。この決断も見事だったが、国内ではそれほどの騒ぎにならなかったことは、時代が変わりつつあると言っていい。

野手においても、変化が生まれている。
今季、西武は守備の名手・源田壮亮をDH起用した。「そういうタイプじゃない」と前監督からは揶揄されたが、起用の意図は疲労軽減だった。ソフトバンクも柳田悠岐や近藤健介などをDHに回すなどして選手のコンディション維持に努めている。これらはメジャーリーグからの輸入された考え方である。

もちろん、そうした変化は日進月歩だ。メジャーから輸入した考え方を日本野球界の発展として受け入れられているが、その進歩は止まることを知らない。つまり、何かが流行すれば、また次の波はやってくるものなのだ。

「最近、アメリカではQSについてはあまり言われなくなってきていますよ」

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