限界突パ

ノーノー達成!ソフトバンク・石川柊太選手の限界突破思考。

編集長の氏原英明です。
昨日のパ・リーグ、ペナントレースにおいて大記録が生まれました。
ソフトバンクの石川柊太選手が対西武戦において、ノーヒット・ノーランを達成しました。

筆者は一度だけ、石川選手のインタビューをしたことがあり、それを拙著「baseballアスリートたちの限界突破」(青志社)の中で紹介しています。

そこで、今日は、その石川選手が選手として限界突破を果たす思考法について、拙著の一部を紹介したいと思います。

現在の野球界は進歩が著しいです。テクノロジー化の波を受けての発展が凄まじいのです。データサイエンスを使い、選手の能力を可視化していく。そうすることで、再現性を高めて安定的に能力を発揮させるのです。これはメジャーリーグの影響をもろに受けているのですが、日本のプロ球団のうち球団の本拠地球場にトラックマンという機器を取り付けているのです。

トラックマンとは「TRACKMAN 社」が開発した弾道測定機器のことです。軍事用レーダー技術を転用した計測機器で、ボールの軌跡を高い精度で記録できるんです。ゴルフ におけるスイングのメカニックスを知る上で参考にされていたようですが、野球においては、ボールの回転数や回転軸、投球の際のリリースの高さ、バッターのスイングスピードやスイングの角度などを測定することが可能なのです。

いわば、その数値によって、プレイヤーのパフォーマンスが印象度ではなく、しっかりと数値化されるというわけです。といっても、結果を見て喜ぶのではなく、違いは何かを解析することで、日頃のフィードバックはもちろん、選手の育成にも活用できるということです。

このデータを必要としているかどうかは選手個々の判断に委ねられるわけですが、ここ数年は、投手の中に活用する選手が増えてきているのです。

昨季のパ・リーグ最多勝投手に輝いた福岡ソフトバンクホークスの石川柊太投手は、プロ入りは育成選手だったのですが、少しずつ階段を昇り、日本を代表する選手の一人に成長しています。

石川選手の良さは、こうしたデータはもちろん、野球界の情報を収集し、自身の成長につなげています。様々な声を傾聴する幅の大きさは球界屈指です。
例えば、今はコロナで不可能になりましたが、シーズンオフになるとダルビッシュ有選手のアメリカの自宅を訪れ、ともに汗を流すということをやっているのです。
石川選手はスーパースターに学ぶというありきたりな表現ではなく、ダルビッシュ選手の姿勢から得るものは大きいとこう語ります。

「技術的なところで言えば、カットボールに関してひっかける感じというのを教えてもらって、それを参考にして良くなりました。ただ、それ以上にダルビッシュさんと野球の話をしている中で得ることが多いです。メジャーリーグで成績を残している方が、それでもまだ現状に満足せずに、上を目指している。日々の野球に対する取り組みから学ぶことが多いです。トップレベルの人もやっているんだっていうのを間近で見て、より一層、僕たちがまだまだなんだなって思わされました。ダルビッシュさんは、1回、チャレンジしてみるそうです。1回やってみて、自分に合わなかったら、取捨選択して、それを繰り返している。それをすごく言っていて、そういうのも、自分もやってみて良かったらやるし、 やらないという感覚は大事だなと。その繰り返しの中で自分というものが作り上げられていく。探究心が必要だと思います」

石川選手にピッチングの話を尋ねると印象だけで話していないことが手に取るように分かる。自分のストレートが人とは異なりシュート回転していることやフォークが特殊な落ち方をしていることも彼の中で理解をしている。これは数値を知らなければ分からないことでもあるのです。そうした知識を持っているからこそ、ダルビッシュ選手から得られることが大きいのです。

つまり、石川選手はデータを知ること、それらを通して、スター選手から学ぶことを常態化していて、それが彼の中での反省と改善を繰り返してピッチングをさらに大きくしていっているのではないでしょうか。

どうすれば自分は認められるかさらに、石川選手の傾聴力は、トレーニングにまで及びます。日頃から YouTube やSNSの配信などをチェック、一般的には知られていない有名ではない人物の動画などにも聞き耳を立てて、自己研鑽を忘れないのです。
石川選手はそうした姿勢を危機感があるかのようにこう話します。

「基本的に、自分がいいピッチングをしていると思っていないんです。常に自分のピッチングを見直しています。自分が思ったところにすべて投げられて、自分が思った時に三振
を取れるのが一番の理想だと思っているんですけど、まだまだだなと。ですので、データの使い方にしても、トレーニングなどにしても、先手先手で、情報を仕入れる状態にして
いかないと、遅れていくというのは感じています。『え? 何それ』って1年後に知ったら、それは本当に遅い。1年の遅れをとってしまうことで、野球人生が大きく変わってし
まう。何かがあって、興味が湧くのではなくて、日頃から何事にも興味が湧くようなマインドづくりを自然とできるようにしています」

石川選手はプロ入り当初は一軍の試合に出場できる支配下登録枠には入っていませんでした。どうすれば、自分は認められるのか、支配下選手になれるのか。常に人に耳を傾けることで、成長を遂げてきた背景を探ると、彼の成長が必然にも思えてきます。テクノロジーの進化が当たり前になっている社会の中で、どのように自分の人生につなげていくかは、現代を生きる我々にとって非常に重要なことだと思います。時代に乗り遅れないように。先手を打てるように。その意識を持つことが成功者の道へ進むきっかけになるに違いありません。


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