限界突パ

山川は残留か、FAか。西武球団が出すべき決断とは?佐藤の成長、出場機会、年俸面…から導き出す最適解。

 西武が本拠地・ベルーナドームでの最終戦を終えた。シーズン終了までまだ5試合を残すが、ホームゲームでの最終戦があった日はセレモニーなどがあり、選手やスタッフ全員が集結する異例の1日になる。ファンに向けたセレモニーは放送などでも映し出されるが、その裏で最終戦の際に必ず行われるのが球団オーナーの囲み取材だ。話題となるのは多くの場合、チームの評価であったり、指揮官の進退などになる。やはり今の西武にとって話題となるのが山川穂高の去就だ。後藤オーナーは言葉を選びながら「真摯に反省した上で、しっかりとした道を歩んでもらいたい」と話している。今回は山川の件について、感情論を抜きにして、チームビルディング上の観点から、彼をチームに残留させるべきなのか、どうかについて考察していきたい。(文・氏原英明)

 

あと5試合を残す時点で5位に沈んでいる西武。まだCS出場の可能性を逃すが、昨年ほどの好成績ではないことは理解できるだろう。投手陣3人が10勝を挙げるなど、成果がなくはなかったのだが、5位という成績は満足できるところではない。

敗因に挙げられるのは離脱者が多く、選手が揃わなかったことだろう。
WBCで優勝の立役者になった源田壮亮の開幕からの離脱は名誉の勲章として受け取れるが、外野の一角を担う予定だった外国人のペイトンが早々に離脱して、主砲を務めるはずの山川穂高がプライベートの件で、試合出場が叶わなかったのは大きな戦力ダウンだった。

投手力は昨季のリーグ1位の防御率を誇り、メンバーはそのまま残っていた。チームの勝ち方としては投手陣が少ない失点に抑えて、チャンスを確実にものにしていく野球を展開したかったが、投手陣が奮闘しても、打線が沈黙することが少なくなく、苦しい戦いを余儀なくされた。

しかし、主砲の不在は多くの若手選手に出場機会を与えた。

山川の守る1塁には外国人のマキノンが多く起用されたが、山川がいた時は三塁だったマキノンの守備位置変更で、三塁のポジションが空いた。このポジションの熾烈な争いが若手を成長させた。

佐藤龍世、平沼翔太、渡部健斗、呉念庭…渡部は一塁の方が多かったとはいえ、ポジションをシャッフルさせながら、これらの選手が競争した。序盤は渡部が一歩リード。持ち前の長打力で、一塁手に入り、その際にはマキノンが三塁手やDHを務めるなどした。

しかし、渡部の故障離脱などもあって、徐々に平沼や佐藤龍、呉にも出場機会が増えていく。その中で抜け出したのがベルーナドーム最終戦でも決勝打を放ちヒーローインタビューにも立った佐藤龍だった。

現時点の序列から言えば、佐藤が1番手、ポジションが併用であるとはいえ、渡部、平沼あたりが後に続くだろう。それぞれに特徴が異なるとはいえ、1軍戦力としては使いようのある選手たちであることは間違いない。

そこで、今後の展望である。

仮に1年契約のマキノンと来季も契約を結んだとしよう。
とすれば、どうなるだろうか。

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