限界突パ

トラックマンの導入から全てが変わった。「失敗してもナイスチャレンジ」を繰り返し前進し始めた組織の力。第2回インタビュー【特集 ライオンズは変わるのか】

第2回インタビューはチーム統括部の市川徹氏。2017年からチーム統括部に籍を置く市川氏は陰でチームの改革に尽力してきた人物だ。元々はスポーツデータ関連会社の社員だった市川氏は現場とは異なった観点からライオンズが強くなるために必要なものを模索している。世間で起きていることの情報をいち早くキャッチし、それらを精査する。そして、実行力のあるメンバーたちと企画し実現を目指していく。いわば、今のチームの変遷を知る男である。

――チームが変化していく中での過程をお伺いしようと思ってきました。市川さんはIT戦略室にいて、その後、企画室。現在はチーム統括部長兼企画室長というお立場です。その変遷がチームの変化でもあるのかなと思いますが、どのようなことがあったんですか。

市川 自分は2017年10月に事業部から今の球団本部チーム統括部に異動してきたんですけど、チーム統括部と兼任してIT戦略室も兼務してほしいと言われました。チームとしてトラックマンを導入したのは2016年6月なのですが、 その頃はチーム側の方でITやトラックマンに感度が高い人があまりいなかったという印象でした。自分はたまたまスポーツデータ関連会社で働いていたというのもあって、 そういう情報がいろいろと入っていたので、手伝ってくれないかという形で、事業部の立場でありながらお手伝いしていました。そして 2017年の10月に正式に異動してきました。当時はIT戦略室と言ってもニアリーイコールでトラックマンでしたね。

――当時はどんなことがチームに必要だと感じましたか。

市川 トラックマンによるデータは、今まで見えなかったものが見えるようになるというものですが、じゃあ、それをどういうふうに解釈したらいいかと翻訳する人が必要でした。物理学的な観点もありますし、データ分析的な観点もありますし、それを使ってどういうふうに指導していくかというのもあると思うので、解釈する人、翻訳する人というのは絶対必要だと思ったんです。そこで、まず早稲田大学にバイオメカニクスの先生がいらっしゃったので、 その先生と話ながら、そこから、今チームにいる永見 智行先生たちとつながり、トラックマンが意味するものは何だというところの理解を深めてきました。

――なるほど、トラックマンの数字を境にして末広がりのようになったと。

市川 自分は定型フォーマットを作って、ボールの回転数がどうであるとかエクステンション(リリースの位置・高さ)がどうだったとかレポートを作ることができたんですけど、それが何を意味しているかというのが分かる人はいなかったので、 そういう時に大学の先生を入り口として解釈できる人をどんどん広げていったという感じですね。

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