限界突パ

主将・源田壮亮がWBCで名誉の負傷で開幕不在。球団に迫られた2つの決断は正しかったのか。【検証2023 西武編①「選択」】

松井稼頭央新監督を迎えた2023年はリーグ5位に沈み、ポストシーズンに進むことなくシーズンを終えた。常に優勝争いをしているのが黄金期の西武だと考えると、さまざまな事情があったにせよ、この結果は、当然、納得できるものではない。では、この1年はどんなところに問題があったのか。「検証2023 西武編」と題して4回連載で振り返っていきたい。(取材・文 氏原英明)

開幕カードには新鮮な顔が並んでいた。それまでテッパンだった遊撃手のポジションに入団3年目の山村崇嘉が抜擢されていたのだ。それは新鮮でもあり、一方でチームのキャプテン源田壮亮が定位置いないことを示していた。

山村は思い切りのいいバッティングが特徴のスラッガーだ。将来の主軸候補として期待されるが、やや早めのデビューだったことは否めない。もちろん、西武としても将来をイメージしていたからに他ならないが、ただ、源田がショートにいなかったのは“若手の台頭”だけが理由ではなかった。3大会ぶりに制覇した4月のWBCの試合中に源田が右手薬指を骨折。治療に専念するために試合の出場を回避することになっていたのだ。

チームにとっては一大事だった。
何せキャプテンであり、上位打線を任されるはずの選手である。相次ぐ移籍で野手は急速な若返りが必要なチーム事情だ。投手陣を中心として守って勝つ野球だが、数少ない得点を挙げていくためには源田のような選手は必要不可欠だった。そんな選手が開幕前に離脱するというのは大きな戦力ダウンであるのは間違いなかった。

ここで問われたのは球団の判断である。その判断とは2つある。

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