限界突パ

【検証2023 楽天編④「終焉」】一味違った真夏の健闘も・・・石井一久体制による「失われた5年間」への危機。

今年の楽天は順位こそ昨年と同じ4位だったが、首位とのゲーム差は前年6.5から17.0に拡大した。10年連続V逸の余波は大きく、最終戦から2日後に石井一久監督が退任。2018年9月のGM就任から始まった石井体制にピリオドが打たれた。なぜ楽天はオリックスに決定的な大差を許したのか? 今年の戦いを、SNS総フォロワー数5800人の鷲ファンで、河北新報Web版の連載コラムも好評のしばかわが、全4回の短期集中連載で振り返る4回目。

●8月以降:27勝24敗1分

8月以降の勝率5割未満は過去6年で5度。夏場の失速が定番の楽天だが、今年はひと味違った。7月の15勝7敗に続き、8月以降も27勝24敗1分と勝ち越したのだ。

最大の要因は、チームの暑さ対策にあった。

「5月から長袖を着ての練習を実施し、交代浴やサウナで暑熱順化に励んできた」と8/6日刊スポーツ。仙台も例年にない暑さで真夏日は過去最多の59日。2021年28日、2020年27日だったから異常さがわかる。そのなかナインは粘り強さをみせた。たとえば、日中35.7度まで上昇した8/5ロッテ戦(楽天モバイル)でNPBタイ記録の形勢7転シーソーゲームを7-6で制した一幕もあった。

則本昂大が夏場を牽引した。

例年開幕から交流戦まで快投も、夏場に調子を崩すことの多かったエース。昨年も勝負どころの7、8月で防御率6.13に沈んで1勝どまり。エースの失速と歩調を合わせるようにチームも優勝戦線から後退した。

繰り返される過ちを回避すべく、今年は首脳陣もエースに無理をさせない方針を貫いた。過去には開幕戦で150球を熱投したが、今年は余力を残して100球未満で降板する例も多かった。

【表1】 則本昂大の開幕10登板1試合平均球数と最多球数

首脳陣による序盤の運用に暑熱順化対策も加わり、則本は夏バテすることなく鬼門の7、8月を56回・4勝で乗りきった。投球回も勝利数もキャリア2位の成績だ。夏場を見すえたエースの起用法は今年の首脳陣がみせた数少ない好采配の1つになったことは、河北新報Web版6/15付の当方コラムではやくも言及していた。

則本の奮闘がありながらも、10/10ラストマッチでAクラスを逃し2年連続4位、首位と17.0差を突き放された原因はどこにあったのか?

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