WBC後遺症ではなく、世界での激闘を経て得た財産。「1年を通して」見たくなった佐々木朗希と山本由伸の成長<SLUGGER>
さらなる高みに向かっているような気がしてならなかった。
米球界も注目した一戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝メンバー同士の投げ合いとなったロッテvsオリックスの今季初対決は、佐々木朗希(ロッテ)が7回2安打無失点11奪三振に抑える好投を見せ、2対0で勝利。オリックス山本由伸との投げ合いを制した。
「今日は1点とられたら勝てないと思っていたので、どうにかゼロに抑えることだけ考えて投げました」
試合後のヒーローインタビューでそう振り返った佐々木は、絶好調と言ってよかった。初回先頭打者にいきなり160ロを計測。昨季はストレートとフォークをメインに組み立ていたが、この日はスライダーも効果的に使った。5回までは完全投球のピッチングだった。
とはいえ、対戦相手のオリックス・山本も見事な投球を見せた。
初回からストレートとスプリットを中心にカーブ、カットボールを織り交ぜる投球で3回までを無失点。WBCメンバー同士らしい息の詰まる投手戦を展開したのだった。
ロッテが4回に1点を先制。2死一、三塁から7番の茶谷健太が三塁手のグラブを弾く適時打を放って1点をもぎ取り、これが決勝点に。投手戦は佐々木に軍配が上がった。
一方の佐々木が見せた違いは、右打者に多めに使ったスライダーだった。
佐々木はフォークボールピッチャーだ。意図的ではない部分はあるにせよ、このボールはさまざまに変化する。そこへスライダーを投げ込むようになると、打者にとってはさらに厄介なピッチングになる。
2回の先頭・杉本裕太郎にはスライダーを2球続けて追い込み、最後はフォークで三振。6番の中川圭太にはストレートとスライダー3球で空振り三振に仕留めている。
こうしたピッチングは、山本と同じようにWBC合宿中に手応えをつかんだものだ。「ダルビッシュさんから試合でも十分に使える球種だと言ってもらえたのが良かった」と、世界との戦いの中でも使っていた球種だった。
オリックスの捕手・若月健矢は佐々木のピッチングをこう振り返っている。
「真っ直ぐももちろんすごいんですけど、フォークがシュートしたり、スライダーしたりしてくる。スライダーは、フォークより緩いので区別はつくんですけど、(球速が)速いのですごい球でした」
右打者にスライダーとフォークを使い、左打者にはフォーク。6回には1死二、三塁のピンチを招いたが、左打者の2人を連続三振に切って取る圧巻のピッチングだった。
「(今日は)後のことを考えるよりも、最初に勢いをつけて投げられたらと思って行きました。6回のピンチでは前に飛んだら点が入る確率が高かったので、三振を狙って取りに行けてよかったかなと思います。(今日だけでなく)今年1年間を通して成長した姿を見せれたらなと思います」
山本、佐々木がともに「1年間を通して」と口にしたのは印象的だった。
2人とも、WBCでの優勝から学び、さらに成長したいという思いが強いからであろう。WBCのような大きな大会があると、「WBC後遺症」という見出しをつけたネガティブな記事も並ぶが、この日の2人が見せたように、世界大会で得た財産を生かしていることもあるのだ。
2人が初めて直接対決で見せた姿は、まだまだ彼らが上に登っていくことを予感させるメッセージのような投球だった。
両者の対決が観客を魅了したのは、実力に違わぬピッチングを見せたからだけではない。
昨季の2人とは違った部分を要所に見せていたからだ。投球のレベルの高さには目を奪われた。
山本が違いを見せたのは高めの使い方だ。
これまでは追い込んだ時の釣り球などに使う場合が多かったが、この日は初球からどんどん高めにストレートを投げ込んでいた。1回の1番・藤原恭大には2球続け、藤岡裕大にも同じように投げ込んでいた。
これはWBC期間中に覚えた投球術で、山本は「ダルビッシュ(有)さんから高めを使うと僕の球が生きるということを教えてもらった」と語っていた。
「(高めを使うことについては)相手バッターのタイプであったり、場面であったりがあって使っているんですけど、色々試しながらやっています。(今日の)手応えというよりは試合数がまだ少ないので一年通してやってみてになると思います」
一方の佐々木が見せた違いは、右打者に多めに使ったスライダーだった。
佐々木はフォークボールピッチャーだ。意図的ではない部分はあるにせよ、このボールはさまざまに変化する。そこへスライダーを投げ込むようになると、打者にとってはさらに厄介なピッチングになる。
2回の先頭・杉本裕太郎にはスライダーを2球続けて追い込み、最後はフォークで三振。6番の中川圭太にはストレートとスライダー3球で空振り三振に仕留めている。
こうしたピッチングは、山本と同じようにWBC合宿中に手応えをつかんだものだ。「ダルビッシュさんから試合でも十分に使える球種だと言ってもらえたのが良かった」と、世界との戦いの中でも使っていた球種だった。
オリックスの捕手・若月健矢は佐々木のピッチングをこう振り返っている。
「真っ直ぐももちろんすごいんですけど、フォークがシュートしたり、スライダーしたりしてくる。スライダーは、フォークより緩いので区別はつくんですけど、(球速が)速いのですごい球でした」
右打者にスライダーとフォークを使い、左打者にはフォーク。6回には1死二、三塁のピンチを招いたが、左打者の2人を連続三振に切って取る圧巻のピッチングだった。
「(今日は)後のことを考えるよりも、最初に勢いをつけて投げられたらと思って行きました。6回のピンチでは前に飛んだら点が入る確率が高かったので、三振を狙って取りに行けてよかったかなと思います。(今日だけでなく)今年1年間を通して成長した姿を見せれたらなと思います」
山本、佐々木がともに「1年間を通して」と口にしたのは印象的だった。
2人とも、WBCでの優勝から学び、さらに成長したいという思いが強いからであろう。WBCのような大きな大会があると、「WBC後遺症」という見出しをつけたネガティブな記事も並ぶが、この日の2人が見せたように、世界大会で得た財産を生かしていることもあるのだ。
2人が初めて直接対決で見せた姿は、まだまだ彼らが上に登っていくことを予感させるメッセージのような投球だった。(4月17日)
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