想定外の戦力外通告から30分で2軍コーチ就任受諾。「もう頭がぐちゃぐちゃ」。ユーティリティープレイヤーだった熊代聖人がコーチとして目指すもの。【ライオンズに尽くした男たちの第2章 第5回熊代聖人】
突然の現役引退だった。12年の選手生活ではユーティティプレイヤーとして鳴らした熊代聖人はチームに必要なピースとしていつも1軍にいた選手だった。そんな熊代が引退してすぐに2軍外野守備・走塁コーチに就任。「引退後もユニフォームを着れるのはありがたいこと」と突然のコーチ就任要請を快諾して今に至る。ライオンズに尽くした男たちの第2章 第5回は熊代コーチの紆余曲折のコーチ業に迫る。(取材・文 氏原英明)
――まず現役を引退されてからこの1年間、どんな1年でしたか。
熊代 率直にいろいろ覚えることもたくさんありましたし、もう本当に勉強です。日々学ぶことばっかりで。大変でしたけど、やりがいをすごく感じた1年かなと思います。
――どんなやりがいがありましたか。
熊代 今まで現役の選手だった時は野球はチームスポーツなのでチームのことを当然考えていたんですけどでも、チームにとって自分はどういう存在にならなきゃいけないのか。自分のことばかりを正直考えていたんですけど、コーチという立場でやらせていただいて、教えているのですけど、選手たちの人生を半分くらい握ってるようなもんだなと。すごく責任を感じた1年でした。
ーー今まで教えてもらう側だったのが、突然、教える側に変わるっていうのは戸惑いもありますよね。
熊代 指導には正解、不正解というのはないんですけど、果たして自分のコーチングが大丈夫なのかという不安はありました。もちろん、その気持ちは今も持ちつつ、だからこそ日々勉強しないといけないという気持ちはあります。
ーー2022年に現役が終わりました。引退する時には何をするとかイメージは持っていたんですか。
熊代 正直、2022年に引退になりましたけど、まだやるつもりでした。来年どういうふうに身体を鍛え直していこうかなっていうことしか考えてなかったんで、もう驚きしかなかったです。だから別に何も考えていなかったです。
ーー現役が続くものだと。
熊代 自分の中で身体がまだ動く自信もありました。何となくわかってくるじゃないすか。今年で契約を切られそうだなとかって。僕も12年やらせてもらって、何となくわかるんですけど、2022年に関して言えば、来年もまだやらせていただけるなって思っていたので呼ばれたのはびっくりしました。それも来年に向けての秋の練習が始まる前日の夜。正直、驚きしかなかったです。
ーーそのときはトライアウトを受けたり、他球団に行くっていう選択はなかったんですか。
(残り 4460文字/全文: 5478文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ