限界突パ

西武・松本航がセットアッパーに転向が功奏。4度目の連敗脱出はこれまでと違う?

最下位に低迷するチームには直面している問題点がある。
ましてや5月前半の時点で4度の4連敗以上を喫するようなチームにとって、その問題点一つだけではない。

西武が4度目の連敗を止めて連勝を飾った。これまでも連敗を止めると連勝するところがあったから、それだけ珍しいことではない。ただ、連敗が止まってもまた再開される可能性はこれから残ると言うのもまた事実だ。

しかし、今回ばかりはと多少、前向きになれる要素がある。

これまで西武の打線は課題だとばかり考えられてきた。確かに、打線は大きな課題だ。この3連戦では3試合連続2桁安打を記録して上昇の兆したが、もう一つチームにとって大きいのが勝ちパターンの確立だった。

「いいところで投げてもらう可能性があるという話はいただいていたので、しっかり抑えれて良かったです」

この苦しいチーム状況の中セットアッパーを務めることになったのが松本航だった。

今季の松本は初登板こそ打たれてしまったものの、2戦目以降は先発投手として役割を果たしていた。それも3試合連続ハイクオリティースタートを記録するなど調子は上がっていた。

ただチームは先発陣がとてつもない成績を残していた。エースの今井達也は防御率1.47で支配的なピッチング。ルーキーの武内夏暉も1.50をマークしている。戦線離脱するまで防御率1.42の平良海馬も調子は良かった。隅田知一郎も順調に滑り出していた。今季から先発転向していたボー・タカハシのピッチング内容もよく、開幕は出遅れていた昨季までのエース・高橋光成も復帰していた。

その一方、ブルペン陣はやや精彩を欠いていた。セットアッパーを期待されていた甲斐野央が開幕して間もなくで戦線離脱。これが痛かった。水上由伸や本田圭佑などが務めたが、なかなか、豊田清ピッチングコーチの信頼を勝ち取るまでには至らなかった。水上の他に、開幕当初はブルペンメンバーだった豆田泰志、糸川亮太(今は復帰)がファームに落ちるなど、クローザーのアブレイユだけが決まっている状態で、8回の成り手がいなかったのだ。

そこで白羽の矢が立ったのが松本だった。
4、5月の試合日程が1週間フルになかったことも松本を起用するタイミングではあった。

松本は5月11日の楽天戦において今季初のリリーフ。担当は8回。「勝ち継投が足りない」というある記者のイジワルな質問にも務めて冷静にこう応えたものだった。

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