限界突パ

西武「期待の星」村田怜音が負傷離脱も心配なのは若手の伸び率。「育成のライオンズ」が実を結ぶために必要なこと。

「村田、あげようぜ」
2−13と大敗した5月10日の楽天戦後、松井稼頭央監督が平石洋介ヘッドコーチにそう告げた。 

1軍首脳陣の中でも、ドラフト6位ルーキー、村田怜音の成績は知れ渡っていた。今年中のデビューはないだろうと目されていた選手だったが、打線が上向いていかないチーム事情にあって、2軍で好成績を残している村田の存在は一筋の光だった。まだ試合の成績とはいえ、楽天戦での大敗に、指揮官は決断を下したのだった。 

その村田が3試合に出場したのち、登録を抹消された。15日の日ハム戦の7回裏、ファールボールを追った村田は持ち前の全力プレーを見せたところフェンスに激突。その際に膝を痛めたのだった。エスコンを熟知している選手だったら、避けられたかもしれない。あるいはベテラン選手であれば、ファイトする場面とそうでない場面を使い分けられたかもしれない。しかし、彼がまだ無名のルーキーなのだ。避けられないケガとも言えるかもしれない。 

そのけがが選手生命に及ばさないかを願うばかりだが、西武にとって、彼の存在がどれほどものだったかは想像に難くない。思えば、彼が昇格即スタメンを果たした11日は薄氷の勝利を挙げた。得点は少なかったが、前日まで消極的な打席が多かった打線は村田の存在により、やや勇気を取り戻したのもまた事実だった。彼の昇格には意味はあったと思う。

14日の日本ハム戦ではタイムリーを放つなど、1軍投手に苦労しながらも食らいついていく姿勢に勇ましさを感じる一方、約1年前の時のことが思い起こされた。

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