限界突パ

入団テストを2度受けて西武に入団。育成上がりの奥村光一が明かす「バイメカと相談して」作り上げたバッティングフォーム。

赤田コーチと話し込む奥村

ある意味で、今の西武の育成システムから生まれた選手と言えるかもしれない。

6月8日、育成枠から支配下登録を果たした奥村光一はプロ初安打を含むなど、これまで19打数4安打をマークして1軍に帯同している。彗星のごとく外野手のレギュラー争いに参戦してきたホープである。

瞬足でガッツがある。独立リーグ出身ということもあって野球への情熱、泥臭さが売りだ。
なんでも、2年連続して西武の入団テストを受けたと言うほどだから、彼ほど今の現状に喜びを感じている選手はいないだろう。

「西武は伝統あるチームでかっこいい。ファンとか、そういうことではなくて、すごい憧れてました。だから2年連続して入団テストを受けたんです」。

西武の入団テストは一風変わっている。試合形式の打って投げてのトライアウトのような形式がおおよそを占めるが、西武の場合、多くの時間を測定に割いている。50メートル走だけではなく、反応スピードやアジリティの測定、メディシンボール投げなどである。

入団テストの意図を球団の企画室室長市川徹氏はこう話している。

「単純にスピードを図るのではなくて、加速力はどうであるのかとかを見極めていく。走力があるとか、パワーがある選手というのはたくさんいると思いますが、そうではないところを見極めていければと思います」

言ってみれば、西武の新基軸から発掘された選手の1人が奥村というわけである。

「入団テストの1年目から数値に関しては良いものを出しているという評価だった。1年目の指名はなかったけど、2年目に育成でということで指名をしたんです」

GMとして獲得に携わった渡辺久信監督代行はそう話している。

奥村のプレーで気になったのはそのオーソドックスとも言えるバッティングフォームだ。肩のところにバットを置いて構える姿勢は派手さを感じない一方で、無駄な癖がない。今、伸び悩む西武の若獅子たちが手を動かすスタイルが多いだけに、奥村が余計に際立つ。

ただ、この取り組みこそが西武の育成システムの狙うところでもあるのだ。
奥村がそのフォームの理由を明かす。

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