限界突パ

西武の来季監督に西口文也氏で懸念される”レジェンド”の名声【編集長コラム】

異論はない。

リーグ最下位の西武の来季の新監督に西口文也氏が決定したと多くのメディアが報じている。現場取材の肌感覚からすると大筋で決まっているのだろう。全日程終了後に発表される流れと言っていい。

西口氏は1軍投手コーチやここ2年は2軍監督を務めた。チームのレジェンドでもあり、長く球団を支えてきた人物が指揮を執ることに異論を挟む余地はない。彼にどれほどの力量があるのか。それを信じるしかなく新たな船出に期待しようというものだ。

西口のこれからの未来は期待するとして、それとは別に球団が懸念しなければいけないことがある。

それは松井稼頭央氏の二の舞にしてはならない、ということだ。

今季途中に休養になった松井稼頭央氏の手腕は、正直に、答えが見出せない。5月の時点では決していい状態ではなかったことは間違いないし、試合後の彼のコメントには指揮官らしさを感じることは少なかった。しかし、松井氏が休養してからも成績が一向に上がらなかったことを鑑みると、本当に「松井稼頭央に力量はなかったのか」という疑念が残り、そもそも、「戦う戦力」を編成できていなかったと見るのが妥当なのではないだろうか。GMでもあり、かつて日本一にも導いた渡辺久信氏ですら、チームを救えなかったのだ。

もちろん、編成部は「これで勝てる」と思っていただろう。シーズン直前の飯田光男本部長のインタビューでは「優勝できる戦力は整った」と完全に言い切っている。しかし、それがうまくいかなかった。ただ最下位だっただけではなく、ダントツの最下位だったという事実はいかにチームの編成がうまくいかなかったことを示していると言えるだろう。

その結果として、松井稼頭央氏は職を追われたということになる。

ただ彼に力量がなくて失脚したというだけならプロの世界だから仕方がない。しかし、そうとは言えないのが現状だ。

ここで何よりの痛手なのは選手時代から「レジェンド」と呼ばれた人物が指揮官を務めて成績を残せなかったことによってその名に傷がついてしまったことだ。

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