限界突パ

【2024年読まれた記事】コーチ改革に本気度。最下位西武の入閣発表に見えた新たな方向性。

2024年は多くの方にウェブマガジンにはお越しいただいた。
その中で、多く読まれた記事を紹介する。

短信コラムがランクイン。関心度の高さを窺わせる。オピニオン原稿で解説を中心に取り上げた記事だ。それだけ、今回の組閣に対しての評価が世間にされていなかったこともあるだろう。なぜ、今回の組閣がいいのか。読み直してほしい(文・氏原英明)

今季、パ・リーグの最下位に沈んだ西武の組閣が発表された。
陣容を見てみるとなかなか思い切った改革に乗り出したという印象だ。今回の組閣を読み解いてみようと思う。

すでにメディアなどで評判になっていたコーチ陣は仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチを中心に他球団で活躍した選手、指導者などが招聘されたのは大きな動きだ。

もちろん、これまでも、前任のヘッドコーチを務めた平石洋介など優秀なコーチを招聘することはあったが、一部であることの方が多かった。いわば、西武OBで固められた中に、数人が混じっているという印象で、思い切った動きができるようには感じなかった。

それはおそらく少数派であったことも多少なりとも関係していただろう。

しかし、今季はヘッドコーチに就任した鳥越裕介氏を中心に、仁志敏久氏や大引啓次氏、辻竜太郎氏などまったく西武とはゆかりのない人物が入閣している。これは相乗効果を期待できるのではないか。外からの新しい風が西武の空気を変えてくれるかもしれない。

このWEBマガジンでは西武が「育成改革」に取り組んでいると言うことはずっと報じてきている。その改革の一つにコーチ育成というものが存在する。ファームを中心に研修を受けるなどの取り組みだが、その一方で、チーム内競争というのは、これまで内部の中で異動が多かっただけに見えにくいところがあった。

外部から招聘が多くなったことで「優秀なコーチは評価される」という空気は、今後、西武内に生まれていくことだろう。ファームで修行を積む若い指導者たちにも大きな刺激になるだろうし、育成改革はさらにプロの厳しさを生み出すことになりそうだ。

新本部長になる広池氏も、もともと、広島で選手として活躍、引退した後に打撃投手として西武にやってきた。そこから地道にチーム作りに貢献してきて、今の立場に上り詰めてきた。

育成改革に乗り出した飯田本部長が旗振り役となって、広池氏とファームの改革に尽力してきた秋元宏作氏がチームトップに顔をそろえたことで、今回の思い切った起用に繋がったのではないか。

1軍コーチにそれだけの優秀な人材が集まる一方で、ファームには、これまで国際スカウトなどを務めた土肥義弘氏が復帰。スカウトを長年務めてきた渡辺智男氏も就任している。西武にある伝統をしっかり根付かせつつ、チームを変えていこうという方針が伺える。

「優勝はMUSTではない」「GM制度は置かない」

西口文也監督の就任会見の際に、そう語ったのは飯田光男常務取締役だった。新たな船出はチームを根底から変革する大掛かりなものになったと言えるだろう。来季、チームがどのように科学変化していくのか、今から楽しみである。(取材・文 氏原英明)

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