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「責任逃れの監督では勝てない」。2年目の指揮官に導かれキャリアハイに挑む━━大分南(前編)

大分南のグラウンド内は西日本最大規模の面積を誇る。野球部専用グラウンドまでの間にサッカーのフルコートが一面。圧巻の光景だ。

刻み込まれた監督1年目のトラウマ

安部監督にとっては、2度目の夏采配となる。昨年は1-3で情報科学に初戦敗退を喫した。「今でもトラウマになっているぐらい、失敗の連続だった」というほどの苦い経験となった

「知識のなさがモロに出てしまいました。大事な場面で頭が真っ白になってしまいましたね。とくに前監督の中山輝先生から言われた『監督が動いていないだろう。選手に任せすぎなんだ。責任逃れはいけないよ』という言葉は刺さりました。それは今でも教訓として肝に銘じています」

たとえば「打て」の場面。監督は「打て」のサインを送って終わりではない。「打て」というのは一番楽だが、打球方向の指示はもちろん、一・二塁間に打つなら、どのコースを狙えばいいのか。監督はそこまで細かく指示しなければいけない。また、大事な場面では思いきってエンドランなどの勝負手を打たなければ、選手たちは固まってしまう。監督が思いきれないから、選手たちは固まってしまった。2005年夏に別府青山を甲子園に導いた中山前監督は、そんなアドバイスを安部監督に送っている。

「たしかに、その通りだと思います。ただ、こちらの考えを押し付けるだけでは良くないと思っているので、その後はこちらの考えをしっかり伝えて『お前たちはどうする?』というディスカッションをより入念に行うようになりました。選手たちには発言権も与えています。そういうふうに、指導者と選手たちが一緒になって野球を作っていけていると思うし、私も選手たちからいろいろ勉強させてもらっています」

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