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狩俣昌也、滋賀初凱旋(前編)

「滋賀の皆さん俺います」から4年

 2025年1月29日。水曜ナイターにも関わらず、滋賀ダイハツアリーナには4000人以上のファン・ブースターが駆けつけた。前節の仙台89ERS戦に勝利した滋賀レイクスは今シーズン初の連勝に挑む試合だった。

 対戦相手は同じ西地区の長崎ヴェルカ。昨シーズンまでレイクスに在籍していた川真田紘也が所属し、レイクス前田健滋朗HCが昨シーズンまで指揮を執っていたチームである。さまざまな想いが入り乱れる中、2019-2021シーズンにレイクスで活躍した狩俣昌也も滋賀初凱旋を迎えていた。

 狩俣昌也といえば、2020-21シーズン前のある投稿が今も記憶に残っているかもしれない。「滋賀の皆さん俺います」である。

 狩俣がレイクスで迎えた初めてのシーズン、レイクスは神がかり的な躍進でクラブ初の天皇杯3位や初のチャンピオンシップ進出も手が届きそうなほど躍進していた。だが、コロナ禍でリーグがシーズン途中で中止。悔しい結果となったが、翌シーズンへの希望が持てるフィニッシュでもあった。

 だが、そのオフシーズンに希望は絶望へと変わる。当時日本代表のシェーファー アヴィ幸樹をはじめ、キャプテンの狩野祐介、生え抜きの高橋耕陽と佐藤拓磨、齋藤拓実といった躍進の立役者たちが連日のように移籍を発表していく。レイクスブースターから悲鳴の声が沸く中、狩俣はツイッターで「滋賀の皆さん俺います」と投稿する。これで悲鳴が少し和らぐことになった。

 当時、狩俣はこう話している。「ふとタイムラインを見たらネガティブなツイートが並んでいた。僕と一緒でみんなも寂しいんだなと。なんとかポジティブな空気にできないかと思って、つぶやきました」。最終的にレイクスに残ったのは狩俣と伊藤大司、契約が残っていた谷口光貴とルーキー前田怜緒の4人だけ。レイクスの歴史の中で最も難しいシーズンと言っても過言ではない2020-21シーズンに、狩俣はキャプテンに就任した。

 一からチームを作り直す難しいシーズンとなったが、狩俣は並外れたタフなメンタルとリーダーシップでレイクスを西地区6位へと導いた。そして「心苦しいですが…」と言いつつ、オフに長崎への移籍を決断する。選手としての新たなチャレンジを求めて。当時B3だった長崎への移籍について「残りのバスケット人生をかけるつもりで長崎をB1まで昇格させたい」と語っていた。

 あれから4年。狩俣は再び滋賀のコートに立った。移籍後初の滋賀のコート。狩俣はどんな思いでプレーしていたのだろうか…(つづく)

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