日本の「人工ペニス」研究は陸軍が進めていた!・・・現代の再生ペニスの最先端と日本の人権意識(松沢呉一) -2,883文字-
いつチンコをなくしても大丈夫!?現代のペニス再生医療
すごい時代ですね。耳や鼻がちょん切れても、自分の細胞から培養したパーツを移植することができるようになってきています。
その研究の第一人者が米国ノースカロライナ州ウェイクフォレスト大学のアンソニー・アタラ(Anthony Atala)教授。
内容が重複してますけど、以下のふたつの動画は、TEDでの講演です。
生体の3Dプリンターみたいなことになっています。今私はひさびさに歯医者に通っているんですけど、歯の再生も可能なのでしょう。今はまだすさまじい金がかかるんでしょうけど。
このアンソニー・アタラ教授が率いる再生医療研究所は、先月初頭、動物実験により、再生した組織によるペニスの移植によって妊娠させることに成功したと発表。また、5年以内には人間でも可能になるとしたことが話題を集めています。これでいつチンコをなくしても大丈夫。

「モダン夫婦読本」昭和27年9月号より
今までも人工ペニスは存在していて、精子の製造能力に損傷がなければ、妊娠させることに成功した例もあります。では、今回は機能として何が注目されるのかと言えば、勃起機能です。これまでの人工ペニスには勃起能力はない。最初から勃起している状態にはできるとして。
これが可能になると、もともとあったペニスと変わらなくなる。実際、細胞自体は自分から培養したものですから、人工物の挿入も必要がなく、まさに再生なのです。水虫もなかなか完治しないのに、医学の発展には驚きます。
そのような再生ペニスとはまったく発想が違って、人工物を自分の体からとった皮膚で覆うというものでしかないですけど、実のところ、人工ペニスの歴史は古い。ディルドを腰につけるといった方法は除くとして、外科手術による人工ペニスの研究は19世紀末から行われていました。そこから半世紀近く遅れて、日本でも人工ペニスが実用化されます。
きっかけは太平洋戦争です。戦争で股間を爆薬や銃弾で飛ばされた戦傷者が多数出ました。この「陰茎喪失傷痍軍人」の話は戦意を大いに失わせますので、戦中は知られることは少なかったわけですけど、戦後はしばしば記事にされています。
日本の人口ペニスの最先端は森鴎外が勤務していた元陸軍病院
話は変わって、先月のこと。私は生まれて始めて人間ドックに行きました。胃の内視鏡も、大腸の内視鏡も麻酔を断り、大変おもしろい体験でした。
まだ最終的な結果報告書は送られてきていないのですが、当日の簡単な説明によると、すぐに対処しなければならないような異常はなく、尿素とコレステロールの値がちょっと高いのと、脂肪肝の傾向があったくらいで、「体重を減らせ」と言われました。そんなに太ってはいないですけど、そんくらいしか改善するところはないってことでしょう。こんな乱れた生活をしているのに。
実はこの病院こそが、日本の人工ペニスの最先端を走ってきた存在でありました。
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