全裸フラッシュモブを成立させるダンス文脈—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 5]-(松沢呉一)
「全裸ダンスで、見えにくい「表現の不自由」を可視化する—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 4]」の続きです。
前回のまとめ
前回見た6本の動画は、欧米+αの国ではすべてダンス自体もそれを記録したものを公開することも合法であり、YouTubeでも削除されない。
YouTubeではポルノを筆頭とする性的な投稿はNGですが、あれらの動画はアート文脈によって投稿ができています。とくに演劇やダンスはこれが認められやすい。
ガイドライン上は日本からも同様の動画を投稿できるわけですが、いかにアート文脈が強い作品であっても、現状の日本では175条違反となり得る上に、その場で見ている人、演じている人の数が多いものは屋外屋内を問わずその行為をやった時点で174条違反になります。もちろん、その場にいて見ているだけの人はなんの罪にも問われません。路上で性器を出している露出狂を目撃してしまった人が罪に問われないのと一緒です。刑法175条違反の映像を見た人も同様ですから、もっともっと見ましょう。
私が提案しているのは、刑法175条で言えば1から6まですべて合法にし、刑法174条では前回見た動画のうち1から4までを合法にするってことです。動画5が私有地であり、公道や隣家から通常見えないのあれば今でも公然わいせつにはならないですが、石神井公園であれば引続き公然わいせつです。それも改善したいですが、裸のリテラシーを多くの国民が身につけるまで、石神井公園、江ノ島での全裸撮影を合法にすることはあきらめます。
よって、それが実現しようとも、動画5や6を投稿した場合、どこか特定できないようなものについては問題がないとして、国内のどこかが特定できるものは、映像自体が合法でも、刑法174条の証拠になります。
「Dating Naked」の全裸フラッシュモブ
もう1本全裸ダンスを見ていただきましょう。
7)Dating Naked Presents: Dancing Naked Stunt
2014年に行なわれた全裸ダンスのフラッシュモブです。
ロスでのダウンタウンでの撮影とあります。これが渋谷センター街であれば、撮影の段階で通報されます。無届けイベントしても捕まりそう。運良く通報されなかったとしても、この動画が証拠になります。我が試論では当面日本では実現不能です。
これを出しているVH1はケーブルテレビ局です。これがなんのために作られたものなのかは次回見ていくとして、このフラッシュモブが成立していることに注目したい。
ここではカップルが強調されていて、その点ちょっとエロです。しかし、ダンスという表現に重ねているため、エロがメタになって許容されることがよくわかります。
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