感染者・死亡者・陽性率の劇的低下—スウェーデン方式は正しかった[上]—(松沢呉一)
スウェーデン方式を肯定する記事が増えてきた
たびたびスウェーデンのことを書いていますが、そろそろ結果が出つつあるので、軽く触れるだけでなく、ひさびさにスウェーデンのことをたっぷり書いておくことにしました。
長い長い間、スウェーデンについて書かれた、日本を含めた国外の記事は、肯定的な内容より、「スウェーデン方式は失敗した」といった否定的な内容が多かったのですが、先月あたりから、肯定的な記事が急速に増えている印象があります。
そりゃ、スウェーデンの数字を検討し、ロックダウンした各国が経済の停滞、失業率の上昇に直面している現実を検討すれば、スウェーデンを評価せざるを得ないでしょう。
まずはこの記事を推薦。
2020年9月14日付「Yahoo!ニュース」
トータルの数字を見てその国を判断して、今現在どういう状態にあるのかを見逃してしまいがちですが、たびたび私も触れていたように、最近の状態を知るには最近の数字を見る必要があります。ヨーロッパの中ではさんざん他の北欧諸国に比較して「スウェーデンではこんなに感染し、こんなに死んでいる」と言われていたのが、他の北欧諸国並に数字が落ちているのです。
この記事から9月13日まで2週間の数字を転載させてもらいます(もとは欧州疾病予防管理センターのデータで、10万人当たりの数字です)
スウェーデン 感染者数24.0/死亡者数0.2
デンマーク 感染者数43.3/死亡者数0.1
フィンランド 感染者数8.4/死亡者数0.0
ノルウェー 感染者数24.8/死亡者数0.0
アイスランド 感染者数17.4/死亡者数0.0
死亡者がまだ少し多いですが、ここ最近の、スウェーデンの1日当たりの死亡者はゼロから最大4人程度であり、他の国が落ち着きすぎかと。
ロックダウンはハンマーでハエを殺すようなもの
ここに至るまでの感染者の数字をグラフで見てみましょう。
他の北欧諸国と違って、急速に上昇して、急速に落ちているのがスウェーデン。デンマークとノルウェーが上昇気味。
7月に入って感染者が急速に減り始めるまでは叩かれまくっていたものです。あるいはそれ以降も。
このグラフは2020年9月11日付「FINANCIAL TIMES」掲載「Anders Tegnell and the Swedish Covid experiment」(英文)に添付されたものです。この記事はアンデシュ・テグネルに何度か取材して書かれたものです。
死亡者が増えていた頃は、国外だけじゃなく、国内からの突き上げも激しく、国内の批判派の動きは私も見てましたし、科学者や医学者たちからの連名の抗議も読んでましたが、国会議員から辞任要求まで出ていたとこの記事には書かれています。
この記事は「議論の渦中にある話題の人物」を掘り下げるという内容であり、はっきりと結論めいたことは書かれていないですが、筆者が好意を抱いていることがよくわかりますし、このグラフを筆頭に事実を書いていくだけで、すでに結論は出ていると多くの読者は判断しましょう。
この中でアンデシュ・テグネルは各国がロックダウンしていく様子を「世界が狂ったかのようだった」と言っています。
この筆者はアンデシュ・テグネルを評して「中国の後追いをすることを拒否した」と書いています。その通りです。世界は中国の後追いをした時点で狂ったのです。その狂気を演出したのがWHOです。
アンデシュ・テグネルは「ロックダウンはハンマーを使ってハエを殺すようなものだ」とも言っています。皿の上にいるハエをハンマーで叩けば皿が割れます。企業が倒産し、倒産しないために不要な人材は解雇され、社会のストレスを高め、鬱を発症させ、自殺者を増やす。やがては全体主義、国家主義、民族主義を招来します(カッコでくくった以外のところは私が言っていることです)。
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