ウクライナのタレント大統領ゼレンスキー—ポストコロナのプロテスト[95]-(松沢呉一)
「ウクライナの人々はなぜああも路上に出るのか—ポストコロナのプロテスト[94]」の続きです。
これは私の選択
ウクライナは歴史的経緯から、他国からの介入を嫌い、その分、愛国心、独立心が強い。しかし、同時に国からの介入を嫌う人も多いようです。
この動画を観ると、そのことがよくわかります。
屋外ですし、滑っている時に感染するはずがないですから。と思ったら、リフトを待つ人たちでごったがえしています。
でも、マフラーがあるので、マフラーで口を覆えばいい。と思ったら、ほとんどそんなことをしていない。
屋外だからいいのか。と思ったら、ホテル内でもマスクをしていない。
でも、覚悟をしているんだったらいいと思いますし、老人や病人はスキーをしないでしょ。
ここまで教会が感染を拡大しているという話を何度か書いてきましたが、ウクライナ正教会でも感染拡大していそうです。外ではマスクをしている人たちも、教会内ではノーマスク。
葬儀の際に遺体にキスするだけでなく、日頃の礼拝でも十字架にキスをするので、マスクをしたままではできない。十字架は小汚いので、一回一回アルコール消毒するか、口をギュッと閉めてキスしたあと唇をアルコール消毒すればいいんですけどね。
この動画では、人に「マスクを外せ」と言われてからですが、マスクを外して「これは私の選択」と言ってます。いいですね。国のルールより自分の判断。もしくは神の判断。感染したら家で納豆食って寝ていればいい。
論として自己決定権みたいなことを学んで初めてわかるのではなく(どうせ頭の表面での理解ですから、簡単にすっ飛びます)、自分自身の信念として「私は私の選択でやるのだ」と語れる人でありたい。
大統領もノーマスク
この動画にもあるように、ウォロディミル・ゼレンスキー(Володимир Олександрович Зеленський)大統領でさえスキー場でノーマスクの写真を多数公開。自分で公開したのではなく、一緒に撮った人たちが公開したのでしょうが。
これらの写真は昨年末のもので、制限はつきながらも、スキー場は開かれていたのですが、スキー場でもソーシャルディスタンスを保てない場合はマスクが必要。
この時に長時間話したわけでもないでしょうし、なによりゼレンスキー大統領は11月に感染しています。「抗体は長持ちしない説」としても、1ヶ月で再感染した例はひとつもないはず(PCR検査のいわばノイズとして再感染したとの報告が初期にあっただけ)。
しかし、マスクを義務化した国では、感染した場合は対象外になるルールはないでしょうから、抗体があってもアウトです。感染した証明書を持ち歩いているわけでもないのだし。
1月9日から再度規制強化されていて、このスキー場も閉鎖され、規制強化に伴って1日で200人以上が罰金刑になっています。
すでに第二波の感染者数は落ちてきていて、今年になってからの規制強化は何に基づくのかわからないのですが、その決定に関与した人がこんな写真を撮っていたことが改めて問題になっています。立法の立場にある人が法を守らないのはまずいと同時に、「いかに休暇とは言え、人が死んでいるのに楽しくスキーかよ」って感情もありましょう。
とは言え、これで「辞任しろ」との騒ぎにまでは至っていないようです。
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