「国外に脱出する方法」を検索するロシア人/「国に帰らない」と宣言するロシア人捕虜/パスポートを焼く在外ロシア人-(松沢呉一)
「ロシア人の7割以上はプーチンを支持し、ウクライナ侵攻を支持している—ロシアの世論調査より」の続きです。
どうやってロシアから離れるか
ヴツィオムの調査によると、ウクライナ侵攻を支持しないロシア人は2割程度しかいない。急速に増えてはいるでしょうけど、戦争が始まってからの調査でもその程度です。私が仮想していた「半々」は大きくはずれました(「支持」「不支持」「わからない」が拮抗するような状態を仮想してましたが、現実にはそれぞれ7:2:1といったところ)。
事実を伝えようとして路上に立つと連行され、インターネットに書くと懲役刑になる。経済制裁でルーブルは暴落し、輸入品が値上がりし、金があっても商品がない。輸入薬を常用している人たちは深刻なようです。
とくにプーチンに批判的、戦争に批判的な層から、こんな国から脱出したいと思う人たちが増えていくのは当然です。
ウクライナの「Буквы」で注目した記事に、「ロシアから離れる方法(Як поїхати з Росії)」があります。
もともとロシア人は国外に出たいとの思いが強いわけですが、ウクライナ侵攻以降、「どうやってロシアから離れるか」というフレーズを検索する人が激増していることをGoogleの検索ワードで調べた記事です。ウクライナ・メディアはわりとのどかなこともやってます。
※2022年3月8日付「ロシアから離れる方法(Як поїхати з Росії)」 どうしてロシア国旗を掲げたロシア人は豚なのか、どうして乗り物はトラクターなのか。悪意が入っているのかな。おそらく少なからぬウクライナ人のロシア人イメージは「ダサい田舎者」だとは思います。西ヨーロッパから見たスラブ人イメージと同じ。
列車で、車で、ロシアから出ていく人々
戦況が進むとともに、国外に脱出するロシア人の記事が出るようになっています。ヴツィオムの世論調査を知るきっかけになったロイターの記事「ロシアでデモ参加者100人超拘束、フィンランド行き列車は連日満席」の後半がそういう内容です。
行き先は北欧が多く、とくに国境を接するフィンランドへの列車は、ふだんは空いているのに、このところは満席で、バルト三国に向かう道路も混み合っているとあります。どちらもサンクトペテルブルクから近いですから。
国外に出ると、ロシア人というだけでバッシングされかねないし、子どもの教育はどうするのか、親はどうするのか、仕事はどうするのか、家はどうするのかなど、解決しなければならない問題が山積みですから、すぐには実行できなくても、これからも増え続けるでしょう。
こういう人たちをドン・キホーテは受け入れるといいんじゃないかな。自治体や企業のウクライナ難民受け入れ表明が続いていますが、どうせそうは日本まで来ないので、亡命ロシア人を受け入れるといいと思います。シベリア方面はまだしも近いですから、亡命する人たちはいそうです。
※2022年3月9日付「ロイター」 「100人超拘束」は3月8日火曜日のことです。日曜日の6日は5千人以上拘束されており、それに比べればうんと少ないですが、平日も闘っている人たちがいます。
祖国を捨てた捕虜たち
では、祖国を捨てたロシア人たちの姿を確認してみましょう。
以下はウクライナで捕虜になったロシア兵の皆さんです。戦争とはいったいなんなのかを改めて考えさせる重い重い内容です。
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