松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜここに来て「屋外ではマスクをしなくていい」と言い出している人たちがいるのか-原因不明の小児肝炎とマスクの関係を深読みする-(松沢呉一)

 

「屋外ではマスクしなくていい」との呼びかけをしている専門家たちの謎

 

vivanon_sentence意味がまったくわからん。

 

 

 

なんで今頃「一律のマスク着用に見直しの議論」なんてやってんの? 「いつの放送だよ」と日付を確認しましたが、今年の4月29日です。

この報道に登場する専門家たちの意見は以下。

 

国立感染症研究所・脇田隆字所長「熱中症のリスク、あるいはコミュニケーションがとりにくくなるということがありますので、屋外で人との距離が十分にある場合、こういった場合にはマスクを外すことが推奨されると思っております」

日本医師会・中川俊男会長「屋外などで十分な距離があるときにはマスクを外す対応をとっていただきたいと思います」

(厚労省アドバイザリーボード)国際医療福祉大学医学部・和田耕治教授「大きな駅で皆ずらずらと行くところでも、そんなに話している人がいるわけでもないし、話している人はマスクをしていることが多いんであれば、その周りの人っていうのは特段本当は必要はなかった。(マスクは)めりはりをつけて使っていただくことが本来は必要だったわけですけども、混乱を避けるという意味で一律にしていただいたところがあったかもしれないですが、今徐々に外せるものは外していく、他の感染対策で不要なものはやめていくという時期にあると思います」

 

2020年も2021年も、熱中症のシーズンには厚労省がマスクを外すことを推奨していました。なんでいまさら、立派な肩書きの先生方がこんなことを改めて言い、テレビ番組が取り上げているのでしょうか。

 

 

「屋外ではマスクしなくていい」と言うなら2年前に言え

 

vivanon_sentence私はこの2年ちょっとの間、一貫して、単独で屋外にいる時はマスクをしないか、顎マスクです。真冬は屋外でもぴっちりマスクをしていることもありますが、これは防寒具としてです。口の周りが少し温かい。とくに厚手または二重三重の布製マスクが温かいので、冬場はもっぱらこのタイプです。「布マスクでは予防できない」と言いたがる人もいますが、屋外なんだから予防する必要がないってばよ。

春になってからは、またノーマスクが増えています。室内で人がいない場合は同じくノーマスクか顎マスクで、人がいる場合はマスクをしています。

「室内で人がいる場合はつける」という方針も徹底しています。空いている電車の中では話をしないので、マスクをしないのですが、ぼちぼち人がいるとかっちりマスクをします。

外でノーマスクや顎マスクにしていて、そのまま店に入って注意されることはどうしてもありますが、トータルで10回は注意されていないと思います。屋外で注意されたことは一度もなく、室内で注意された場合は素直に私は従ってます。

その私からすると、屋外や室内であっても必要のない場面でマスクをつけている人たちが多いものです(ほとんどの人がそうです)。

私の周りでも、新型コロナに感染した人はボチボチいて、たった今も自宅療養しているのがいますが、「へえ」で終わって、今は話題にもならない。健康体であればほとんど死なないですから、どうでもよくなっていましょうけど、マスクは今まで通りなのが不思議と言えば不思議。でも、好きにすればいいんじゃないですかね。個人個人で判断すればよく、その結果として「皆で揃ってマスクをする」ということになっているならほっとけばいい。強制されるわけではないので、他人のことは知ったことではなく、私は屋外ではしないことが多いってだけ。

和田耕治教授の言い分を意訳すると、「国民はバカなので、要所要所で判断することはできず、“とにもかくにもつねにマスクしておけ”という指導くらいしか理解できない」ということだったようですが、その時バカなら今もバカですから、必要のない場面でもマスクをつけさせておけばいいじゃないですか。なぜ当時は必要のないところでもつけてよく、今はつけない方がよくなったのでしょうか。

※一時は千円だった抗原検査キットはあっという間に値段が落ちて、1ヶ月以上前に撮ったこの写真の時はいくらか数字が読み取れないですが、今は300円くらいで買えるんじゃなかろうか。

 

 

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