松沢呉一のビバノン・ライフ

ウクライナ軍の兵器が充実しつつあることだけでなく、ドローン映像の質が向上してきている点に注目—ロシア兵はとっとと国に帰った方がいい-(松沢呉一)

 

ラジオ・リバティのプロデューサーがミサイルで死亡

 

vivanon_sentenceもはやロシア軍は国連をも敵に回したようです。

 

 

国連事務総長がウクライナ訪問中にキーウを爆撃、記者1名死亡と出ていますが、これはラジオ・リバティ(ラジオ・フリー・ヨーロッパ)のウクライナ支局で、プロデューサーとして働いていたヴィラ・ハイリッヒという人物です。28日、彼女の住んでいるアパートにミサイルが撃ち込まれて、おそらく即死。翌日遺体が発見されています。

たまたまでしかないにせよ、死亡したのがジャーナリストであり、なおかつ米国政府が資金提供しているラジオ・リバティであったことは、ロシアに対する米国の怒りを高め、また、国連に対する宣戦布告に等しい効果をもたらしています。

ロシアはモルドバ支配の野望も露にしてきています。黒海周辺地域の支配ですから、ルーマニアやブルガリアも反発するでしょう。

ロシアは第三次世界大戦化させることで、たとえば中国などが旗色を鮮明にして参戦せざるを得なくなることを期待しているのでありましょうか。

※2022年4月29日付「BBC NEWS」 この記事によると、これまでに23名のメディア関係者がロシアの攻撃によって亡くなっているとのことです。

 

 

次々と謎の死を遂げるオリガルヒたち

 

vivanon_sentenceなんとかしてプーチンを止められないのか。と何度も呟いてきたフレーズをまたも口にしてしまうわけですが、その可能性のひとつだったオリガルヒはプーチンが潰しにかかっているようです。

経済制裁の影響を受けているオリガルヒからプーチン体制への不満が出てきていて、それとともに不審死が続出。少なくとも7名が死亡していて、その家族も巻き添えになっています。ロシア政府に反対する人物の不審な死は高い率で暗殺であることはここまで見てきた通り。

オリガルヒたちはプーチンの盟友だった人々であり、プーチンの秘密も知っているため、同時に口封じされたとも言われています。こういう時のために、「おかしな死に方をしたら公開してくれ」とスイスの秘密金庫に遺書を残しておいて欲しい。証拠とともに。

さすがにオリガルヒたちは金も力もあるので、自分を守りつつ、プーチン批判を大々的に始めるのが出て来ないものかと思うのだけれど、彼らは彼らで悪事に手を染めて来てますから、プーチン側からそれをばらされることを恐れて、表立って行動することはできないのではなかろうか。軍の上層部も不正に甘い汁を吸ってきたためにプーチンに楯突けないのと同じ構図です。

※2022年4月21日付「BBC NEWS」 日本語版。プーチン批判のオリガルヒの急先鋒はオンライン銀行「ティンコフ銀行」創設者のオレグ・ティンコフ。ウクライナでロシアは大虐殺をやっていると批判。この人が消されたら、いよいよ暗殺の疑いが濃厚。むしろ、ここまではっきりと批判をした方が安全かとも思うのですが、プーチンはおかまいなしで殺しに来そうです。それを待ち伏せて捕まえて、誰に依頼されたのかを吐き出させるといいのではないか。

 

 

各国提供の兵器が使われ始めている

 

vivanon_sentence結局のところ、ウクライナ軍がロシア軍を完膚なきまでに叩きのめすことを期待するしかないのかもしれない。

私は、ロシア軍の戦車や装甲車が爆破されたり、ヘリや戦闘機が撃墜されたりする映像を観るのを日課にしているわけですけど、キーウ周辺での激戦が続いていた時期に比較すると、4月に入って本数が減ってました。顕著に戦況を反映しているわけです。

そして、ここ数日、今まで以上に作品が多数公開されています。

 

 

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