松沢呉一のビバノン・ライフ

「アサシン クリード シャドウズ」が歴史に残る大炎上—文化盗用とパクリ[16]-(松沢呉一)

無許可で久石譲コンサートを年に100本開催してボロ儲けの韓国—文化盗用とパクリ[15]]の続きです。

 

 

「アサシン クリード シャドウズ」は最高に盛り上がるゲームに

 

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フランスに本社があるUBIソフトから11月に発売される予定のゲーム「アサシン クリード シャドウズ」が大炎上。

 

 

やったことがないので、「アサシン クリード」がどんなゲームか知らないですが、「アサクリ シャドウズ」は16世紀の日本を舞台にし、主人公(の一人)が弥助ということで、主として米国で批判が高まってます。

このバトルが大変に面白いゲームと化していて、登場人物の一人である脚本家は早い段階で反ポリコレ軍の投石で深手を負って、戦場であるSNSから撤退。イーロン・マスクまでがポリコレ軍に対して批判的に言及。UBIソフトの株は暴落中です。

炎上商法としては空前の大成功ですが、ポリコレ軍は劣勢に立たされていて、発売後の数字を確認するに至らずに発売中止になるのではないかとの憶測も出ています。こういったゲームは製作費がかかるため、発売中止になると、トラブル続きのUBIソフトの存続も怪しくなってきます。

 

 

「アサクリ シャドウズ」批判の大要

 

vivanon_sentence論点は多岐に渡り、それぞれが絡み合っているので、整理が難しいですが、批判されているのは主に3点。

 

1)これまでのシリーズでは、それぞれの国の人物が主人公なのに、日本編は黒人である点。

2)弥助は実在したとしても、記録がほとんど残っておらず、侍になって活躍した事実は確認できない。あとは創作で埋めているのに、史実であるかのように扱っている点。

3)トレーラーなどに、多数のおかしな描写があって、時代考証がなされていない。

 

 

もうひとつ、主人公がLGBTであるとの話が出ていて、当然批判されていますが、これについてはどこでどう説明されたものなのか確認できなかったので、飛ばします。

1点目は「ポリコレを持ち込むな」という批判でもあります。このシリーズ自体、私はよくわからんこともあって、主人公が黒人でもいいんじゃね?とも思います。日本人を斬りまくっても問題なし。しかし、2点目と3点目を考慮すると、「日本を馬鹿にした」、少なくとも「軽視した」と思わないではいられません。

1点目の多くは2点目を踏まえての批判になっていて、かつこれまでのシリーズを踏まえての批判になっているのですが、ここを曲解して、「黒人が主人公であるから批判された。差別だ」という反論も出てます。的外れです。

2点目は「親なるもの 断崖」に重なります。奴隷として日本に来た黒人が武士として合戦でも活躍した可能性はゼロではないかもしれないですが、その可能性は0,001パーセントくらいでしょう。

ウィリアム・アダムス(三浦按針)が武士になり、教科書にまで名を残すようになったのは航海士だったためです。航海術についてはもちろん、造船や数学、科学の知見を持っていて、それを家康が必要としたのであり、それまでそんな訓練をしたことがないのに、剣術使いの卓越した能力を発揮して、戦功を残したわけではありません。そうであれば何かしらの記録が残っていましょう。

弥助も同じで、目立つ存在ではあったのに、記録がほとんどないってことは、そんな事実はないと考えられます。にもかかわらず、弥助が武士として活躍したと信じる人たちは「日本は野蛮な国だから、宣教師の召使いでも、肉体が秀でていれば剣の達人になれたし、黒人だから記録にないのだ」とでも思っているのでしょうけど、馬鹿にしすぎかと。

3点目は2点目の延長です。確かにトレーラーを観ると、気になるところがあります。日本のこの時代の時代考証ができる人材を用意していなかったのだろうと思うしかない。

私の中には「所詮ゲーム」という思いがあるし(すいません)、「存在しないデタラメな日本」や「ステレオタイプを強調した日本や日本人表現」に私は寛容、それどころか好きだったりもしますが(「群衆心理に打ち勝つ方法」シリーズを参照のこと)、本シリーズは考証がしっかりしていることに定評があるそうで、今回はその信頼感が裏切られたとの思いを抱いたファンが多いようです。

✳︎UBIソフトJapanのサイトより、直江と弥助

 

 

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