日本のアニメキャラが白人に見える人の中にある差別性—アニメに詳しくない私がアニメに対する批判に反論する[中編]-(松沢呉一)
「「日本のアニメキャラは好んで白人を描いている」との的外れな指摘—アニメに詳しくない私がアニメに対する批判に反論する[前編]」の続きです。
シカがキテる!!
前回を書いてから気づいたのですが、テレ東で7月7日から始まるアニメ「しかのこのこのここしたんたん」はシカJKが主人公です。
シカがキテます。
でも、私は角が生える前の子ジカが好きです。シカのロリコン。
白人がアニメの日本人を白人だと思う理由
アニメは動物のかわいさを移植したものであるとの指摘を探してみたのですが、英語圏でも「バンビ」を素材にして、「ディズニーがその手法を創出し、それを日本が取り入れた」という指摘がちらほら見られます。また、「相対的に大きい人間の赤ちゃんの目を模した」という意見や「大きくした方が表情をつけやすい」という意見もあります。
人間の表情はもっぱら目と口でなされます。興奮すると鼻の穴が広がるお約束の表現がありますが、それ以外では鼻は表情の乏しい部位なので、普段は小さくていい、あるいはなくてもいい。もし日本のアニメキャラが白人を描いているとしたら、鼻は高く描かれるでしょうが、アニメではそうなっていません。
口も表情が豊かですから、多くの場合、ディズニーでは大きく描かれますが、普段は小さい方がメリハリがつきやすいということからか、しばしば日本のアニメでは小さい。対して、目の表情は開き方、角度などの微妙な変化によるため、デフォルトの状態を大きくする必要があります。
日本のアニメキャラは白人を描いているとの指摘に対して、オレゴン大学のフォン・マックナイトという人物が的確な批判をしています。この一文は、「頼むぜエディタ」が取り上げていたのですが、あのチャンネルの難点は出典を明示しないことです。著作権的に正しくないし、元ネタを探すのに手間がかかります。
元ネタを確認したら、彼の間違いがわかりました。エディタは「オレゴン大学の研究者の論文」とかなんとか言ってましたが、フォン・マックナイトはこれを書いた当時オレゴン大学の学生であり(現在何をしているのかは調べてもわからんかった)、この一文は論文ではなく、エッセイです。なおかつ2015年のものなので、ちと古い。
✳︎DVD「ミッキーマウス!クリスマス&ハロウィーンスペシャル」 確かにミッキーマウスはミンストレルショーの黒人ぽい(これについては前回参照)
フォン・マックナイトが元ネタにした「Why Do the Japanese Draw Themselves as White?」
それでもフォン・マックナイトの指摘は傾聴に値します。
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