在広州日本国総領事館による旅行代理店のビザ申請停止と不法滞在・合法移住の両面で増加する中国人-(松沢呉一)
在広州日本国総領事館による広東省と福建省の11社の旅行代理店のビザ申請停止の真相
「姫路城の二重入場料を正確に理解する—中国の旅行代理店への制裁も正確に理解したいけれど、なお不明点が多い」に追記してましたが、在広州日本国総領事館が、広東省と福建省の11社の旅行代理店のビザ申請停止を通告した件は、杉並区の民家に侵入して放尿した「鉄頭」(放尿つながりで別の話が混入)とはやはり関係なさそうです。「鉄頭」だったら上海の旅行代理店一社の責任を問うはずで、広東省と福建省の11社を制裁することにはつながらないですから。
在広州日本国総領事館のサイトにこの件のコメントが出てました。
以下、自動翻訳。
ネットで報じられた「日本のビザ政策が厳しくなった」というのは本当ですか?
いいえ!ビザ申請者により良いサービスを提供するため、当館では指定旅行代理店を定期的に見直しています(注:6月18日現在、大使館には52社の指定旅行代理店が存在します)。
大使館は旅行会社のサービス内容や業績を踏まえ、指定旅行会社の追加や、一時的に取り消されたビザ発給権の回復なども準備している。指定機関の変更によるビザ発給条件への影響はございませんので、ご安心ください。
夏の旅行シーズンがやって来ます。日本への旅行を計画している場合は、ビザを申請する前に、クリックして以下の指定旅行代理店の最新リストをご確認ください。なお、日本のビザの申請条件に変更はありません。日本のビザ関連情報については、当大使館公式ウェブサイトの「日本へのビザ」欄 をクリックしてください。
「今回の措置は定期の見直しにすぎず、現在も52社を指定しているので、引き続き利用してちょ」って内容。
「鉄頭」が「お前のせいで、日本旅行が中止になった」と中国国内でバッシングされているのはとんだとばっちりですが、このまま勘違いさせておけばいいでしょう。彼は国内の動画投稿サイトから一通り排除されて、現在抗議活動中。彼の活動を支持する中国人は減ってますし、類似した迷惑系が続出することは政府としては避けたいでしょうから、復活は難しそうです。
富裕層の移住を調査した報告書
今回指定を外された11社は何が問題だったのかは相変わらず不明ですが、急増している「中国から観光ビザで来日して、そのまま不法滞在する事例」に対してビザ申請をした旅行代理店の責任を求めた可能性も指摘されています。確証はないですが、十分ありそうです。実際にツアー客として来日して、日本国内で同人に何人も行方不明になったケースが起きているらしい。
不法滞在者は、技能実習制度で来日し、途中で逃亡してそのまま居座ることがこれまで多く、観光ビザでそのまま居座るのがあまりいなかったのは、なんのツテもなく、観光ビザで来日したところで仕事に就くことは困難だったからです。対して、技能実習で来日して数ヶ月もすれば日本の状況もわかってきて、受け入れ先も探せましょう。
しかし、中国人については、それこそ蛇頭のようなギャング組織が人材をリクルートして、日本で住む場所を準備し、格安でコキ使うネットワークができていそうです。さもなければ観光ビザで来日して不法滞在しようなんて無謀なことを考えて実行するのが増加するとは思いにくい。
こういった組織はそれで金を得ていますから、そう簡単に諦めるはずがない。中国には、仕事はないが、体力のある若い世代はナンボでもいますから、今後は「こう聞かれたら、こう答えろ」と問答集を作って、入国審査をパスするように対策をとるでしょう。
もしかすると、旅行代理店自身がリクルーターとして人集めをするなど、悪質な例を今回処分したのではなかろうか。中国ですから、金になればそんくらいやる旅行代理店がないわけがない。
これまでは、正規の手続きで移住してくる中国人富裕層の話をしてきましたが、そっちはそっちで増加してます。
これについて大変参考になる調査報告書が公開されました。
The Henley Private Wealth Migration Report 2024
(残り 2270文字/全文: 4008文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ